高知工科大学 KUT WAY 2025
29/88

28KUT WAY 2025形状とサイズを制御したナノ構造に現れる電子・光物性を利用したメタマテリアルを研究し、高効率エネルギーデバイスへ応用開発します。ナノスケール材料(ナノ材料)がもつサイズと構造に起因する優れた電子・光物性は、太陽電池、二次電池などエネルギー分野での応用が期待されています。私たちの研究室では、カーボンナノチューブやグラフェンをはじめとするナノ材料を、光波長サイズの光アンテナに加工することで、新しい光機能を引き出すメタマテリアルの研究を行っています。ナノ材料を回路に組み込んだメタマテリアルを設計し、高効率のエネルギーデバイスへ応用開発することで、地域と世界のエネルギー諸問題の解決をめざす大きなテーマに取り組みます。フレキシブル太陽電池やセンサー応用に向けた半導体薄膜技術ガラスのように透明で電気を流す薄膜は”透明導電膜”と呼ばれ、エネルギー問題を解決するうえで重要な太陽電池や照明、スマートフォンなど、身近なデバイスには欠かせない部材です。例えば、今後の発展が期待されるフレキシブルな基材上で、透明導電膜の性能をいかに高めるか?フレキシブル性に由来する新しいセンサー機能を創出できないか?など、世界最先端の技術も駆使しながら材料の性質を理解し、環境に優しい安心で安全な半導体薄膜の研究に取り組んでいます。エネルギー資源工学エネルギーの基礎概念として、エネルギーの形態や、再生可能エネルギーを含むエネルギー資源とその資源を活用するシステムについて学習します。さらに、エネルギー問題と密接に関連する地球環境問題についての現状と将来についても学びます。プラズマ工学特論プラズマは物質の第4の状態とも呼ばれ、また宇宙の物質の99%はプラズマ状態であるといわれています。未来のエネルギー資源と期待されるプラズマ核融合研究から現代の産業を支えるプラズマ処理技術まで、プラズマの基礎と工業的応用、気体放電によるプラズマ生成と制御を学びます。未来に進む先輩環境や景観面でも優れたカラフルな太陽電池の発電効率の向上に取り組んでいます。 大学から大学院まで一貫して取り組んでいるのが色素増感太陽電池です。シリコン太陽電池は通常酸化チタンを材料として使用していますが、私の研究では酸化亜鉛の薄膜を材料にしています。それを加熱することで膜のうえにナノロッドと呼ばれる突起を数多く発生させ、そこに色素を付着させるという構造で、太陽光が当たると色素から電子が発生し発電します。突起を発生させることで表面積が広くなり曲面に応用ができ、シリコン太陽電池とは違った応用で再生可能エネルギーの促進が可能になります。また、真っ黒なパネルではなく、様々な色を使用でき、カラフルな景観を楽しめます。透過性も高いので例えば車のガラスに透明に近い太陽電池を使用することで電気自動車の動力源にすることも将来的には可能です。残念なことに現状では発電効率はシリコン太陽電池にかなり劣っていて、社会実装できるまでに至っていません。発電効率が10%を超えるものが作れれば世界トップレベルだと指導教員の李 朝陽教授から言われているので、そこを目標に研究を重ねているところです。Academics電気機器電力はエネルギーの輸送・利用システムとして優れており、鉄道や自動車をはじめ様々なものが電化されています。電気機器では、電気がする仕事と機械的な仕事を相互に変換する発電機や電動機(モーター)の原理を学び、研究や開発に携わるため基礎力を養います。機能性薄膜工学研究室受け入れ可能な専攻|エネルギー工学/電子・光工学[ 学士課程 ]大学院工学研究科 基盤工学専攻修士課程▶ 将来の展開 持続可能な循環型社会実現に向け、カーボンニュートラル、再生可能エネルギー、電気自動車やスマートモビリティーなどエネルギーの関わる幅広い技術課題は、人類必須の共通課題であり、その解決には、地球環境、経済、政策、地域社会、個人のライフスタイルまで含めた幅広い複合分野への理解と考察が必要です。これらエネルギーリテラシーの高い技術者への期待は、「ものづくり」をはじめ、あらゆる技術領域で日増しに高まっています。インフラ、プラント、重電・電力業界をはじめ幅広い領域で、本専攻・大学院修士課程で学んだ環境課題とエネルギー関連の専門知識と活動を発展させ、活躍することが期待されます。例えばこんな講義があります[ 例えばこんな研究室 ]先進エネルギーナノ材料研究室受け入れ可能な専攻|エネルギー工学/電子・光工学/航空宇宙工学学士課程学士課程古田 寛 教授牧野 久雄 教授大学院修士課程2山下 竜生さん宮崎県立妻高等学校出身▶ 学ぶ意義 長期的エネルギー資源枯渇と資源に乏しい日本のエネルギー確保、カーボンニュートラル達成と循環型社会実現の課題に対し、あらゆる工学領域でエネルギーリテラシーの高い技術者育成が求められています。本専攻では、環境負荷課題からエネルギー技術まで幅広くエネルギー工学を学び、地球環境に配慮でき、次世代エネルギーシステム構築やエネルギーマネジメント分野で活躍する技術者の輩出をめざします。修士課程では、エネルギー技術・産業の研究開発を先導する人材、広範な産業分野で技術に携わる人材、環境技術など広い視野をもち、世界のエネルギー課題解決に必要なマネジメント能力等をもつ人材をめざし、次世代エネルギーの最先端研究と基盤技術を学び、研究活動を通じた応用力とプロジェクト推進力を養います。Chapter電子・光工学コース「システム」の視点から「システム」の視点から幅広いエネルギー技術を開拓幅広いエネルギー技術を開拓エネルギー工学専攻

元のページ  ../index.html#29

このブックを見る