高知工科大学 KUT WAY 2025
73/88

72KUT WAY 2025センパイがんばるセンパイがんばるセンパイがんばるOB•OGVOICEニッポン高度紙工業株式会社技術開発部 開発課OB•OGVOICEAGC株式会社技術本部 材料融合研究所機能部材部 コーティングチームOB•OGVOICE日本銀行高知支店研究活動を通じて知識を蓄え、物事の本質を掴むように変化。 大学3年次での研究室配属で選択したのは流体工学研究室で、取り組んだ研究テーマは「欠陥対消滅が誘起する液晶流動」。液晶ディスプレイなどに用いられる液晶は、製造工程において液晶欠陥と呼ばれる分子配向の空間的歪みを生じることがあるのですが、その液晶欠陥を利用してアクチュエータ(駆動装置)ができないかをテーマに数値的、実験的に研究していました。考えることの大切さや楽しさを体感でき、そのことが原動力となって、博士後期課程まで進むことになりました。アメリカ・サンディエゴで開催された国際学会での発表など大きな経験も積むことができました。 大学院修了後、就職したニッポン高度紙工業株式会社は、電解コンデンサ用や電池用セパレータ(特殊用途紙)を製造・販売し、国内外で大きなシェアを占めている高知発祥の企業です。技術開発部に所属し、一次電池(アルカリ乾電池など、いわゆる一般的な家庭用電池)の正極と負極を隔離するセパレータの研究・開発を担当し、例えばより長時間使うことのできる乾電池の開発に寄与できるよう日々研究に取り組んでいます。大学時代に研究を通して培った、物事に対する考え方や取り組み方、捉え方などは、今の仕事にとても生かされていると感謝しています。徹底的に調べ解き明かすことで答えを見つける研究の型を修得した学生時代。 研究室配属では古沢 浩教授のもとで「カーボンナノチューブ(CNT)の誘電泳動集積」の研究に取り組みました。単に記憶するような学びではなく、現象のメカニズムを物理的な解析により解き明かしていくような研究手法にふれてから、学ぶことの面白さに目覚め、特に大学院に進学以降は電子顕微鏡などの設備の整ったN棟(ナノ創製センター)に毎日と言っていいほど入り浸っていました。大学院では古田 守教授のご指導を仰ぎました。わからないことを徹底的に調べ、ひとつずつ事実を積み上げ、答えを導き出すという研究の型を身につけることができ、今の仕事の場においても自分自身の土台になっていると実感しています。 大学院修了後は液晶ディスプレイメーカーに勤務した後、2019年4月から世界最大級のガラスメーカーであるAGC株式会社の研究部門で研究開発に従事しています。現在は、ガラス板に光学部材(レンズやフィルタなど)の膜を乗せ、新たな付加価値を生み出すという開発研究に携わっています。膜そのものの物性だけでは性能の限界があるので、フォトリソグラフィやドライエッチングなどの技術による微細加工を用い、より高い付加価値をつけられるよう研究開発に取り組んでいるところです。例えば、スマートフォンの付属カメラのレンズの厚みをもっと薄くするなど皆さんの身近なところにも役立てる成果が挙げられると思っています。できるだけ早く自分が開発した製品を世の中に出して、直接的にメリットを社会に還元できるよう頑張っています。学んだマネジメント能力で社会貢献をめざす。 大学で取り組んだ研究はテキストマイニング分析を使って隠れた顧客ニーズを発掘するという研究です。テキストマイニング分析とは、数値データだけでなく、文章で書かれた文字列の量的分析から隠れた情報を見出すという研究です。高知県内の旅館を対象にロコミデータのテキストマイニング分析を行い、最終的には、対象旅館へ競合他社との経営戦略の差別化や経営改善の提案を行いました。このような研究活動において、経営学の視点で組織や企業行動を捉える力を養ったことは、就職活動で職業を選択するとき役に立ったと感じています。また、就職後も仕事を一つひとつ理解して進めて行くうえで、大きな財産となっています。 卒業後は日本銀行高知支店に入行。日本銀行は、日本銀行券の発行および管理を行うとともに、銀行など金融機関同士の取引の決済を行う「銀行の銀行」です。また、金融政策を通じて物価の安定を通じて国民経済を健全に発展させる役割を担っています。入行当初に所属した発券課では、金融機関への現金の受払事務やお札の真偽鑑定事務などを経験しました。翌年には総務課に異動し、支店長受付として、会合・講演のスケジュール調整や来客対応など支店長の対外活動をサポートする仕事についています。日々の業務は外部の人と接する機会が多く、支店長受付の対応は日本銀行や支店長の第一印象につながるため、正確性や柔軟性を大切にしながら、日々の業務に努めています。黒岩 正寛 さん大学院博士後期課程基盤工学コース2008年修了戸田 達也 さん大学院博士後期課程基盤工学コース2016年修了長山 愛理 さんマネジメント学部マネジメント学科(現 経済・マネジメント学群)2017年卒業

元のページ  ../index.html#73

このブックを見る