Academics ][ 例えばこんな講義 ][ Chapterこれまでに学んできた経済学の知識を高知経済に応用することにより、理論に基づいて現実経済を議論する力を養います。基礎となるデータとして高知県の県民所得統計や産業連関表などを用いて現状を把握したうえで、将来を予測して、今後必要となる政策を考えます。政策の決定には、政治家・有権者・利益団体・官僚・メディアなど、それぞれに異なる利害をもった人々や組織が関与します。政治プロセスを経るとき、経済学的に望ましいとされる政策はきちんと選ばれるのでしょうか。どのような方向へ歪められやすいでしょうか。政治制度のデザインによって歪みを無くすことはできるのでしょうか。理論と実験によってこれらの問いに挑みます。広告を打つと、売り上げが上がるというのは本当でしょうか?このような、原因(広告)と結果(売り上げ)の関係を明らかにするためには、どのようなデータ分析手法を使えばよいのでしょうか?その考え方を、まずは教科書から学びます。次に各学生が関心のあるテーマに対してこの考え方がどのように応用されているのか、論文を読んで発表してもらいます。論文の発表や教員との相談を通じて、自分なりの仮説を立て、データを集めて検証してもらいます。最終的には、得られた結果を踏まえてどんな戦略・政策を取ったらいいのか(例えば、広告を打った方がいいのか、打たないで広告費を節約した方がいいのか)について客観的な結論を出すところまでをめざします。はじめにテキスト輪読や問題演習により経済学の考え方を修得します。経済学の考え方は何にでも応用できるので、卒業 論 文では各学生が好きなテーマを選びます。特 徴のある市場(保育サービス、牛肉と牛原皮、間伐材、自動車など)を取り上げて取引がうまくなされているかを分析するものから、様々な政策(ごみ回収の有料化と分別の種 類の増加、過 疎地 域における集 住化、マラソン大 会の開催、自動車運転 免許の年齢 制限など)の導入の可能性や効果を測るものまで多岐に渡ります。ある企業の製品はライバル企業の売れ筋商品に似せた方がいいのか、それともなるべく被らない方がいいのか、あるいはいっそのことライバル企業と合併してしまえばいいのか。各企業にとってはどうか、消費者にとってはどうか。こうした問いに対して経済学の理論を用いて分析し、市場での競争ルール(=競争政策)をどのように整備すればいいかを考えます。高知経済分析安井 佑太 講師肥前 洋一 教授産業組織論未来に進む先輩政治経済学▶ 将来の展開▶ 学 ぶ 意 義[ 例えばこんな研究室 ]産業組織論研究室受け入れ可能な専攻|経済政策/数理経済マネジメント政治経済学研究室受け入れ可能な専攻|経済政策/人間行動/数理経済マネジメント59 Kochi University of Technology石川県立七尾高等学校出身人 間 の 特 徴 と社 会 経 済 の 仕 組 み の 原 理 を 理 解し 、よりよい 社 会 づくりに 貢 献 する 人 材となる人 間 の 特 徴 と社 会 経 済 の 仕 組 み の 原 理 を 理 解し 、よりよい 社 会 づくりに 貢 献 する 人 材となる国民の健康増進を目的とした運動促進政策をテーマにより効率的な政策立案について考えたいと思っています。二俣 淳生さん 社会構成員としての人間の特徴と社会経済の仕組みの原理を理解し、制度・政策をデザインして、よりよい社会づくりに貢献する人材となることをめざします。経済学の知識をベースとし、経済的・社会的状況に応じて人間が実際にどのように行動するのかを教育・研究し、政治経済学や高知経済分析など政策系科目の学習に加えて、好ましい未来を実現するために社会経済をデザインしていくという最先端の学問を学びます。原因・結果の関係を、データから推論する方法を学びます。経済学の考え方を応用して、学生がそれぞれ自由にテーマに取り組んでいます。 組織のメンバーとして幅広く活躍する企業の総合職や、地域社会の未来を設計し実現していく地方公務員などの進路が想定されます。また、最新の社会科学の知見に基づいた経済政策について学ぶために大学院に進学し、研究者として活躍することも可能です。「論理的思考力」を有して「主体的」に活動できる学生を歓迎します。純粋な学術への好奇心と、失敗を恐れずに挑戦する意欲をもって学んでください。 同じ高校のよく知っている先輩が入学していることや当時めざしていた教員の免許が取得できるということが主な進学の理由でした。また経済と経営の両分野のどちらも学べ、専門として選択できることも魅力でした。入学後の学びの中で、統計学や数学の授業に特に面白みを感じて経済系を選び、3年次の研究室配属では草川先生(草川 孝夫准教授)の研究室を志望しました。 現在は「運動促進政策」をテーマに研究を進めていこうかと考えています。近年、運動不足による健康問題が深刻化する中、各国政府は国民の健康増進を目的とした運動促進政策を積極的に推進しています。その推進策の考え方として、市場の外部性を考慮することは、より効果的な政策立案につながります。個人の行動を促すインセンティブ設計や、地域社会全体の活性化を図る取り組みなど、様々なアプローチが考えられます。草川先生に相談しながら研究を進めていきたいと思っています。2経済政策専攻
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