社会の全体像や動きを捉えるには経済学の知識も必要であり、法学部では導入的な専門科目としてミクロ経済学入門のほか、経済学部の一部科目が履修できます。また、毎年かならず開講される基本的な専門科目に加え、新たな法律・政治現象、企業の法実務及び国際化などに呼応する特別科目も年度ごとに開講しています。さらに、1年次に配当される法学政治学基礎演習、3・4年次に配当される演習(ゼミ)では、少人数クラスで周到な予習にもとづく活発な討論が行われています。約40,000名の有為な人材を輩出法学部は1899(明治32)年に法科大学として創設され、今日まで約40,000名の有為な人材を社会に輩出してきました。また、創設期の教授陣は自由な学問研究を尊重し、東京帝国大学とは異なる大学の在り方を模索しました。法科大学院と公共政策大学院を設置京都大学の法学部は戦後の経済・社会の急激な変容、文化・科学の著しい進展に対応し、講座数および教員数を拡充してきました。あわせて1992年から研究・教育の国際化・学際化・高度化に対応するため、それまで学部に配置されていた講座を大学院に配置、大学院の教員が学部教育も担当しています。さらに2004年には法曹の養成を目的とした専門職大学院「法科大学院」を設置。2006年には経済学研究科と協力し、公共的な役割を担う高度専門職業人の養成を目的とした専門職大学院「公共政策大学院」を設置しました。特別科目や演習で社会変化に呼応専門科目に“必修”設定がないのも京都大学・法学部の特色です。その主旨は「自身の将来は自身で設計する」という考え方にあり、自分がどのような科目を選択し、どのような学習計画を構築するか、すべて学生各自の主体性に任されています。※堅実な学習を促すため、各学期(セメスター)に履修登録できる単位数には上限を設けています(キャップ制)。学生の自主的学習を奨励創設当初、必修化された演習(ゼミ)は今も、重視されています。それは学びの選択肢に自由な余地を限りなく広げ、学生の自主的学習を奨励するという伝統となり、今も脈々と受け継がれています。国家や社会を見直す大局観を養成京都大学の法学部は国家や社会の在り方を見直すことに関わり、組織で指導的な役割を果たせる人材養成を目的としています。今日、世界も日本も大きな転換期を迎え、さまざまな問題をかかえています。こうした状況に向きあい、新しい制度を設計するためには、文化の多様性を尊重し、平和な社会の実現に貢献できる豊かな国際感覚を備え、法律や政治の仕組みに関する専門的な知識をもつとともに、社会全体を視野に入れ、知識を組み合わせる構想力や大局観を養わなければなりません。京都大学の法学部は、こうした能力を備えた人材を育成するために、豊かな教養と法律学・政治学の専門知を提供しています。法学部では、特に意欲がある法曹志望者のために、京都大学法科大学院の教育課程と連携した「法曹基礎プログラム」を用意しています。3年次の終わりに、成績優秀、必修科目履修等の同プログラムの修了要件を満たしている場合は、法学部を3年間で早期卒業して法科大学院に進学することも認められます。自由度の高い科目選択と主体的学習ココに注目法科大学院への早期進学の道も27334455
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