入学当初は教養教育を軸とする「全学共通科目」の履修が主体となります。並行して、医療人の素養を育む取組や研究マインドを育成するチャレンジが始まります。国際的に活躍する医学者・医療人を育成するために、外国人教員による英語での生物学授業も用意されています。なお、「全学共通科目」は3年次での履修も可能で、グローバルに活躍する人材を育成するために、医学科所属の外国人教員が担当する医学関連の英語セミナー(ILASセミナー)の履修を推奨しています。基礎医学の履修は、2年次途中から本格的になり、生命科学の深淵にふれる学習を、さまざまな面から掘り下げて深めていきます。同時に、京都大学では、多くの学生がさまざまな研究室で研究に参加しています。世界的な先進的研究を行っている研究室が多く、身をもって最新の医学研究を体験できる機会となっています。このため、早い時期から海外で研究を行う学生も少なくありません。京都大学医学部附属病院(京大病院)は、大学病院の使命である「診療・研究・教育」に関する3つの基本理念「患者中心の開かれた病院として、安全で質の高い医療を提供する」「新しい医療の開発と実践を通して、社会に貢献する」「専門家としての責任と使命を自覚し、人間性豊かな医療人を育成する」をベースに、「安心・安全な医療の提供」に努めています。高度先進医療を担う病院として、施設設備や組織の設置を推進しており、近年では、次世代医療を開発する新組織Ki-CONNECT(次世代医療・iPS細胞治療研究センター)も稼働しました。このような、患者さんの希望となる新たな医療の開発と実践が京大病院には求められており、革新的な医療開発に取り組んでいます。一方で、高度急性期医療を担う病院として、地域医療の強化に寄与する、地域に根差した大学病院を目指し、地域の医療機関との連携を密にし、地域全体でしっかりと患者さんを支える安全で安心な医療の実現にも注力しています。これら高度先進医療と高度急性期医療を実践する病院として、人間性豊かな医療人を育成しています。臨床医学は主に3年次後半から4年次の授業で学び、5・6年次では病院での実習を行っています。京都大学では、2014年度から新しい実習カリキュラムを導入し、単に医学知識を習得するだけではなく、臨床の現場に適応し、責任をもって診療できるリーダーとしての人材を育成することを目指し、参加型に重点をおいた実習を実施しています。実習は医学部附属病院だけでなく、学外の実習病院でも行われ、そこでは第一線で医療に携わる経験豊かな医師が臨床教授として学生教育にあたり、豊富な臨床経験に基づいた少人数教育が行われます。このような密度の濃い臨床教育を通じて、最新の医療とその発展に貢献できる人材育成を目指しています。京都大学医学部医学科では、基礎医学研究者を育成するためのさまざまなカリキュラムが用意されています。共通教育と専門教育が同じキャンパスで行われているという京都大学の特性を生かし、意欲のある学生は1年次から研究室に参加し研究を行うことが可能です。●必修カリキュラム 1年次の授業は一般教養としての全学共通科目が中心ですが、医学科の基礎医学系教員もここに参画し教科書的な内容にとどまらず最先端の研究紹介や基礎研究の魅力、研究者としてのキャリアパスに関する講義が行われます。また、英語による討論や発表に重点をおいた医学・生命科学系科目も開講されています。4年次には8週間以上にわたる研究室配属が必修(マイコースプログラム)になっており、この期間に海外の大学・研究機関に留学する学生も少なくありません。さらに5、6年次の病院での臨床実習時においても一定期間の基礎医学系ラボ(海外含む)での研究が可能です。こういった体験をきっかけに、卒業後海外の大学院に進む人もいます。これらの必修カリキュラムを通じて、学部生全員が自らの研究者としての適性を理解し、その能力を伸ばすことが可能です。●選択制カリキュラム さらに強い興味を持つ学生には入学直後から研究に親しみ従事する機会を提供するため、選択制カリキュラムとしてMD研究者育成プログラムを運営しています。1年次前期にさまざまな基礎系ラボの研究室紹介に参加し自分の興味に合ったラボを探します。1年次後期からは実際にラボに在籍し、2年次後期までの複数ラボでの研究活動を通じて医学研究のさまざまな分野と実験手法を広く見聞・体験して、自分に合った研究分野・手法を見つけることを目標としています。3年次以降卒業までは所属ラボを1つに固定して、より本格的な研究に取り組みます。研究成果は学内のプログラムミーティングや国内外の学会で発表したり、筆頭著者として論文発表することも可能です。さらに同様のプログラムを持つ他大学との合同リトリートが開催され、全国の医学生との交流も活発に行われています。●MD-PhDコース MD研究者育成プログラム登録学生が、早期に基礎医学研究者の道に進むことができるコースです。4年次修了時点で学部を休学して大学院博士課程へ進学、医学博士の学位(PhD)を取得後、学部5年次に復学・学部を卒業(MD)するコース(学部挿入型)と、学部を卒業(MD)後2年以内に大学院博士課程へ進学、最短3年で医学博士の学位(PhD)を取得可能とするコース(卒後進学型)があります。まなびの紹介医学を多角的に掘り下げる医学者・医療人を育成最先端の医療を提供し、人間性豊かな医療人を育成的確な判断力と責任感、使命感を宿したリーダーを医学のさらなる発展と未来を見つめて40医学部附属病院基礎医学臨床医学基礎医学研究者の育成
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