京都大学の工学部では1年次から2年次にかけて、教養教育を軸とする「全学共通科目」を主に学びます。この全学共通科目には、人文・社会科学科目群、自然科学科目群、外国語科目群、情報学科目群、健康・スポーツ科目群、キャリア形成科目群、統合科学科目群、少人数教育科目群などの多様な科目があります。こうした2年間により、高度な専門分野を学ぶための基礎を養うとともに、幅広い学問にふれることで豊かな教養を身につけ、人としての視野を広げます。地球社会の永続的な発展を担う学問の本質は〈真理〉の探究です。そうした学問領域のひとつである工学は、人びとの生活に深く関わるテーマを扱っており、地球や社会の持続可能な発展や文化・文明の創造という人類の課題に責任を負っています。京都大学の工学部は、こうした考え方に立脚した教育・研究を行っており、確かな基礎学力、高度な専門能力、正しい倫理観、豊かな個性、これらを兼ね備えた人材の育成をめざしています。 自由の学風と学問の基礎を重視京都大学が誇る〈自由の学風〉は、既成概念や他者の言動にとらわれず、あらゆる事象の本質を自分自身の耳目手足で確かめ、科学的に理解することに基づいています。そのため京都大学工学部では、ともに学ぶ研究者や学生に自身を律する厳しさを求めています。また、工学は応用を主にすると思われがちですが、京都大学の工学部では、基礎となる学理をしっかり体得することが、将来の幅広い応用につながると考えています。全学共通科目の履修に注力京都大学の工学部では概ね全学科が1年次から専門基礎科目を学び始め、2年次では同科目の履修が主になります。あわせて2年次から専門科目を学び始め、3年次では同科目の履修が主になります。こうして段階的に、学びを高度な専門科目に移行することで、強固な基礎を柔軟に応用するための知力・能力を着実に培います。京都大学最大44の学部京都大学工学部の歴史は、京都帝国大学が創設された明治30(1897)年6月の3か月後、分科大学のひとつとして理工科大学が開校されたことから始まります。以来120年間、工学部はつねに次代を見つめた拡充と整備を続け、京都大学最大の学部に発展しています。工学の全領域をカバーする6学科京都大学工学部は大学院重点化にともない、1993年以降、細分化されていた23学科を理工化学科、物理工学科、電気電子工学科、情報学科、地球工学科、建築学科に改組し、6学科が有機的に連携しながら、工学分野のほとんどをカバーする教育・研究体制を整えています。また、大学院工学研究科(主に桂キャンパス)・情報学研究科・エネルギー科学研究科・地球環境学堂(吉田キャンパス)の各研究室が、工学部4年次の特別研究(卒業研究)の場ともなっています。4年次で行う「特別研究(卒業研究)」では、担当教員の指導・助言を受けながら各自が定めたテーマに関する専門的な研究に取組み、その結果を学士論文にまとめます。この間、学生は各研究室に所属し、教員や大学院生を交えた議論を重ねつつ、創造的な研究活動を体得します。高度な専門科目への段階的な移行ココに注目卒業に向けた創造的な研究活動51334455
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