京都大学案内 2025
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第2学年の後期(秋から冬)になると、専門科目の割合が増加します。農学部の専門科目では、講義に加えて実験、実習、演習が重視され、実験・実習の技術・手法に関する密度の高い教育が実施されます。農学部の学生は、学内でも海外への関心が高く、毎年、多くの学生が外国への留学に挑戦します。 第3学年は専門科目の履修に専念します。また、研究室(研究分野とよびます)の選択という大切な決定をする時期です。分野訪問などで情報を収集しながら、将来の方向を考えた専門科目の履修が求められます。先端学問としての農学農学と聞いても、「農業」というイメージしか浮かばないかもしれません。しかし、今日の農学は「生命・食料・環境」というキーワードで表わされる総合的な学問へと変貌しています。まず、農学は、生命に関する総合科学です。実際に、農学では、微生物(ウィルス、細菌、酵母、カビなど)、植物(穀物、草本植物、樹木など)、動物(昆虫類、魚類、家畜など)などさまざまな生物を取り扱っています。また、バイオテクノロジー、遺伝子組換え、バイオマス、ゲノム編集なども重要なキーワードになっています。農学部への誘い2023年に創立100周年を迎えた京大農学部は、現在6学科体制で、今日の農学のほぼ全域で、教育と研究を展開しています。今日の農学は、明日の農学に向けて日々進化しています。みなさん、京大農学部で、明日の農学に向けてチャレンジしてみませんか。学びを高める:第2・3年次第4学年では、実際に研究室に分属して、課題研究(卒業研究)に取り組み、卒業論文を作成します。課題研究は、教員の指導や助言を受けながら、また、大学院生とも交流しながら、未知の分野の研究に取り組む、研究者としての最初のステップです。そして、所定の単位を修得した学生は、学士(農学)の学位を取得して卒業します。また、多くの学生が、さらに研究を深めるべく、大学院へ進学します。持続的社会の構築へむけて今日の農学は、分子・細胞・個体レベルから生態系・地域レベルまで広範囲にわたって、人類の健康で文化的生活の持続に大きな使命を果たしています。 とくに、地球規模で食料と栄養の確保は深刻な問題です。そのために、農学が果たすべき役割は大きく、農林水産業や食品関連産業の新技術の開発に注力するとともに、農業経済や農業経営などの社会科学的なアプローチも行っています。これについては、農業のハイテク化、農業用ロボット、植物工場、品種改良、食品と健康、植物生産の新技術、フードシステムなど数々のキーワードを挙げることができます。さらに、人類の生活基盤を揺るがす環境問題(陸域や海洋汚染、森林破壊など)は、農林水産業の生産基盤を脅かすだけでなく、農林水産業が原因となることもあります。そのため、環境問題に対する取り組みは二重の意味で農学の重要な使命の一つとなります。学びを結びつなぐ:第4年次ココに注目553344

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