16戦後の日本や世界の政治や経済を支えてきた枠組みが次々と崩れ不安定化し、文化的・宗教的混乱と知的動揺が世界全体に広がりつつあります。こうした不透明な現代社会において、私たちは一体全体、何を学び、それを個人や社会の未来にどう活かしていけばよいのでしょうか。こうした根源的な問いかけに対して、人文学・社会科学が果たすべき役割はますます大きくなっています。とはいえ現代社会の新しい潮流は、これまでと同じ学問的な枠組みや学び方では正しく把握できないかもしれません。そこで九州大学の文系4学部(文学部・教育学部・法学部・経済学部)は、2018年度以来、それぞれの学問分野に蓄積された知的資産を相互に解放し、体系的に提供する「文系4学部副専攻プログラム」を実施してきました。2023年度からは工学部建築学科も加わり、「人社系副専攻プログラム」へと拡充されました。副専攻プログラムにより、文学部で学ぶ深い専門性に加え、学部の枠を超えた人文・社会科学分野の知的広がりを獲得することができます。プログラムは、専門教育が始まる2年次からスタートします。「横断型」と「専門領域型」に分かれ、それぞれの型で複数の魅力的なプログラムが提供されます。修了要件を満たした学生には、卒業時に、自らが所属する学部の学位に加え、副専攻プログラムの修了証が授与されます。これまで、2020年度に17名、2021年に24名の修了者が出ています。また、各プログラムの成績優秀者には、優秀賞が授与されます。横断型プログラム大学入学後に、文学部の専門教育を学ぶ中で、さらに「歴史」「アジア」「情報」「ビジネス」といった現代社会を解く重要なテーマに関心を持った知的好奇心旺盛な学生に対して、文学部に籍を置いたまま2年次より上述のテーマに関して、5学部が提供する科目を広く体系的に学ぶ機会を提供します。専門領域型プログラム大学入学後に、文学部の専門領域を学ぶにつれて、さらに他の学部の専門領域にその知的好奇心が広がることはよくあるケースです。本プログラムは人文・社会科学系の分野を中心とした他学部の専門領域をより深く学びたいと考える学生に対して、文学部に籍を置いたまま2年次より他学部の専門領域を体系的に学ぶ機会を提供します。● 従来の「文系4学部副専攻プログラム」は、2023年度より「人社系副専攻プログラム」へと拡充されました。人社系副専攻プログラム
元のページ ../index.html#17