方言調査風景(沖縄)脳波実験の様子日本光電製デジタル脳波計EEG-1200で測定したERP波形(脳波)授業の一コマ52幼い頃には、「そんな言葉づかいをしてはいけません」と注意されることはあっても、「それは文法的に間違っています」と言ってたしなめられることはありません。もちろん、言葉を話しはじめたばかりの幼児は、文法的に間違った言い方をすることがあります。しかし、「言葉づかい」は意識的に直されるのに対し、いわゆる「文法」は本人の気付かないうちにいつのまにか直っています。言語学の重要な研究領域の一つに、無意識のうちに身につけた文法を解明しようとするものがあります。たとえば人種・民族が違っていても、日本語が話されているところで生まれ育ったら日本語を話すようになり、スワヒリ語が話されているところで生まれ育ったらスワヒリ語を話すようになります。ですから、日本語にもスワヒリ語にも英語にも、そしてどんな言葉にも共通する「文法」(「普遍文法」)というものを、頭の中に持って生まれてくるのではないかと考えられています。人間が共通して頭の中に持っている文法とは、いったいどういうものなのでしょうか?そしてそれは経験的に習得する個々の言語の文法と、どのような関係にあるのでしょうか?さらに、言語とそれを使用する人間との関係は、どのようなものなのでしょうか?これらは人間と言語に関わる根元的な問いです。この問いに答えるためには、具体的な言語データの収集と分析を通して、様々な言語現象を理論的に説明していかねばなりません。九州大学言語学研究室は、この壮大なプロジェクトに取り組んでいる研究者の集団です。主な活動として、「九州大学言語学研究会」を組織し、年に数回様々な分野の研究者を招いて研究会を開催しています。また、『九州大学言語学論集』や『KyushuUniversityWorkingPapersinLinguistics』で、統語論、意味論、音韻論、形態論から心理言語学や言語類型論、言語習得まで幅広い領域において研究の成果を発信しています。文学部/人文学科/人間科学コース大学院人文科学府/言語・文学専攻/言語学専修人間をことばから科学する言語学・応用言語学研究室
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