九州大学 文学部 案内 2023
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哲学・哲学史 2017年度入学 日本史学 2018年度入学62哲学では、自分が興味を持った思想や著書について自分なりの考えや疑問を持つことが求められます。それと同時に、考えたことを言葉にすることも重要となります。行き詰ったときは、先生方や同じ研究室のメンバーと話してみると何かひらめくこともあるかもしれません。哲学研究室では講義や演習、有志での読書会など、様々な場面で活発な意見交換が行われています。また、哲学コースには哲学、倫理学、インド哲学、中国哲学、美学・美術史の五つの研究室があります。それぞれが特色ある研究を行っており、研究室内の雰囲気も様々です。自分に合う研究室を見極めながら、己の興味関心に従って自分なりの研究テーマを探してみてください。もしもその関心が行きつく先が哲学であれば、ぜひ私たち哲学研究室のメンバーに、あなたが興味を持ったことを教えてくださいね。このように大学での「歴史学」は暗記ではなく、現在から過去を解釈していく学問です。そこには難しさもありますが、その分多くの楽しさを味わうことが出来ます。高校まで歴史が好きだった方もそうでない方も、大学での「歴史学」に興味を持ち、日本史学研究室を訪れていただけると嬉しいです。哲学は、万物の根源を求める人々の手によっておよそ二千五百年前のギリシアで誕生しました。「哲学」という言葉は古代ギリシア語で「知を愛する」という意味を持ち、これまでにたくさんの人が物事の本質や根本的なことについて、文字通り「知」を愛し求めて様々な思想を繰り広げています。「哲学」というと、具体的に何を取り扱うかというのかはその名前からは読み取りにくいかもしれません。また、なんだか難しそう、何をするのかわからない、とっつきにくいという漠然としたイメージを抱く人も多いでしょう。しかし、哲学を始めることに堅苦しさや高尚な動機は全く必要ありません。哲学研究室にはもちろん「この人の思想に興味がある」「この分野に興味がある」という理由で入った人もたくさんいますが、他方で「興味関心の幅が広がりそうだから」「何でもできそうだから」という理由で入った人も多くいます。かくいう私も、今でこそ古代ギリシアの哲学者であるプラトンの思想について研究をしていますが、はじめは「古代ギリシアってなんかかっこいい!」と漠然と思っていただけなのです。みなさんは、「心ってどこにあるの?」「時間が流れるってどういうこと?」「“私”っていったい何?」なんていう疑問を持ったことはありませんか? そういった身の回りにある素朴な「なぜ?」「どうして?」を突き詰めることだって、立派な哲学であり、難しいものではありません。また、哲学が取り扱っている対象は非常に多岐にわたり、何を研究の対象とするのかは他のどの学問よりも自由です。みなさんは「歴史学」と聞いて、どのような学問を想像するでしょうか。中学や高校で学ぶ世界史や日本史などの「歴史」の授業を想像する人がほとんどだと思います。私も高校までに習った日本史が好きで、日本史学研究室に入りました。しかし高校までで学ぶ歴史と、大学での歴史学はやや違うように感じます。高校までの歴史は教科書に載っている人名や事項を暗記することが中心だと思いますが、大学では暗記をすることはほとんどありません。では、歴史学とはどのような学問なのか。イタリアの歴史哲学者クローチェは「すべての歴史は現代史である」とし、イギリスの歴史学者E・H・カーは「歴史とは過去と現在との絶え間ない対話である」としています。すなわち現在の視点に立って史資料から過去を分析し、事実の認定や解釈を繰り返すことで、歴史像を構築する学問だと言えます。ここでは大きな事件でなくても関心をもったことは何でも研究対象となり得、また信頼度を担保できるものであれば、文献史料に限らず口頭伝承や絵画、映像など様々なものを史資料として用いることができます。そしてこのように「過去を問い直す」ことは、いくつもの過去の積み重なりのうえにある「現在」を問うことにつながり、その意味において歴史学は現在と密接な関係を持つものであるといえます。2020年は新型コロナウイルスの流行により世界が大きく変化した年でした。このような状況下で私自身、日本史学と現代のつながりを実感させられた1年でした。1940年の東京オリンピック中止と2020年の東京オリンピック延期、戦時下の「不要不急」の旅行の自粛要請や国民の相互監視とコロナ禍の「不要不急」の外出自粛や「自粛警察」の出現。コロナ禍における様々な出来事は戦時下とリンクし現在に多くの示唆を与えているように感じました。過去の出来事の原因や結果、そしてその位置づけについて考えることが、コロナ禍で先の見えない現在、私たちはいかに行動し、どのような未来を目指すのか考える手助けとなるのではないでしょうか。哲学コース歴史学コース「知を愛する」ということ 津田 果南 Tsuda, Kanami 現在から過去を見つめる 後小路 蒔子 Ushiroshoji, Makiko 先輩からのメッセージ Message from Students

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