九州大学 キャンパス案内 芸術工学部 2023-2024
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40居住空間実験住宅サークル共用施設サークル共用施設グラウンドグローバルグローバルイノベーションイノベーションセンターセンター情報基盤室情報基盤室情報基盤室環境設計部門 教授 田上 健一 大学キャンパスのデザインは、どこに行っても同じだと感じていませんでしたか?多くの大学では均質的な建築が規則正しく配置されていて、排他的で冷たい感じがしませんでしたか?大橋キャンパスを訪れると、そういった既視感は吹き飛んでしまうはずです。 大橋キャンパスでは、それまでにはない新しい教育理念のもとに建築群がデザインされています。設計を担当したのは、香山壽夫助教授(昭和47(1972)年当時。東京大学名誉教授)です。設計の基本コンセプトを「コミュニケーション」とし、学生・教員・スタッフ・地域が、さまざまな議論を深め、学問を発展させていくことが意図されていました。 その「コミュニケーション」は、以下の3つが想定され、それぞれに相応しい場が創出されています。1 対話によるフォーマル・コミュニケーション→ (講義室・演習室など)2 学生や教員のインフォーマル・ コミュニケーション→(ラウンジ・テラスなど)3 フリー・コミュニケーションの場→(中庭など) 囲われて閉ざされがちな大学キャンパスのデザインが多い中で、大橋キャンパスでは建築の内部にいても外部にいても人の動きや気配を感じることができるようにと配慮されています。 全体の配置も工夫されています。「コの字型の建物配置」、「中庭」、「45度軸線」が配置上の大きな特徴です。大学での活動を密度高くするためには空間の統合が必要ですが、内に閉じずに外に開くため、また内部と外部が連鎖的に繋がっていくために、この手法は有効なものでした。 近年、討論(discussion)や発表(presenta-tion)を通して、学生諸君がより能動的に学習・研究を展開する「アクティブ・ラーニング」が注目されています。本部局の前身である九州芸術工科大学の開学から50年以上が経ちましたが、コミュニケーションを中心に据えオープンスペースを巧みに配置した大橋キャンパスのデザインは、一向に色褪せることなく、むしろ21世紀の先端教育・研究空間として輝き続けています。 平成30(2018)年には、これまでのキャンパスデザインのコンセプトを継承・強化し、デザインを地域や世界に発信していくための施設「デザインコモン」が完成しました。大橋キャンパス案内Ohashi Campus

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