九州大学 農学部 ガイドブック 2024
15/48

14 遺伝資源は,「人類共通の財産」。一度失われてしまうと二度と同じものは創り出せません。これら栽培されている品種(作物)やその近縁種は, 地球環境と人類が作り出した貴重な遺伝資源です。こうしたイネ属植物のさまざまな特性を解明するために, そのゲノム(DNA配列)情報を解読しつつ遺伝学や育種学に関する研究を進めています。 植物は太陽のエネルギーを利用し,CO2とH2Oから炭水化物を作り出す光合成・物質生産システムをもっています。このシステムの解明,改良は作物の生産⼒を向上させるための大切なテーマです。 病原に感受性のある植物が病原に出会い,かつ環境条件が整った場合に病気が発生します。発病の仕組みの解明は,植物病害防除法を開発するための大切なテーマです。 地球上の生物の中で最も種数が多いのは昆虫で,生態系の中で重要な役割を果たしています。しかし,未だに名前すら付けられていない昆虫が多数残されています。生態系の構造を解明するためには,体系的な分類の研究は大切です。 ツバキ属植物は⽇本が世界に誇る花木で,古くから多様な花形・花色の品種が作出されています。その中でも特に園芸的な価値が高い覆輪品種を実験材料として,覆輪形質の発現に関する研究が行われています。覆輪ヤブツバキ‘玉之浦’「酷暑環境ストレス下でも食糧⽣産を確保するための研究がしたい」 卒業生の約半数は修士課程に進学します。学部卒業生及び*大学院修了生は,公務員として農林水産省や地方自治体,関連する研究機関,企業では,種苗会社,食品会社,農薬会社等,大学で得た知識を生かした幅広い分野で活躍しています。*資源生物科学専攻直近3年間の卒業生の主な就職先R2年度R3年度R4年度64.5%67.9%73.5%進学(修士課程)官公庁(行政、研究)民間会社(技術職、総合職)12.9%14.2%14.7%96.8%100.0%94.1%子供の頃から植物が大好きということと、留学したいという夢があって九州大学農学部の国際コースに入学しました。その後、生物資源生産科学コースの農学分野に進学して、研究室の先生方や先輩・同期生・後輩とフィールドワークから分子レベルまで幅広く研究ができ、充実した⽇々を過ごすことができました。あっという間に10年間が経ち、現在は九州大学の特定プロジェクト教員として卒業した作物学研究室に勤務しています。学生時代から研究を始めた地球温暖化下における作物の高温ストレス耐性や、高温ストレス下の植物に生じた遺伝的変異に着目し、厳しい環境下でも食糧生産を確保するための研究を進めています。私は⾃分の興味とマッチした研究に全⼒で取り組むことができる九州大学で、学生時代から現在の仕事に就くまで最高の時間を過ごすことができ、⽇本に来てとてもよかったと思っています。農業や食糧問題に興味がある方はぜひ生物資源生産科学コース農学分野に来ていただきたいです。2021年度 博士後期課程修了SURIYASAK Chetphilin九州大学大学院農学研究院 資源⽣物科学部門(特)助教19.4%17.9%5.9%遺伝資源の保存と利用は、21世紀人類の最重要課題植物による太陽エネルギーの利用植物病害の発⽣原因昆虫の多様性ヤブツバキ花弁における覆輪形成卒業生の活動の分野卒業生からのメッセージ

元のページ  ../index.html#15

このブックを見る