九州大学 農学部 ガイドブック 2024
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②③④16 地球の表面に広がる土壌は生物生存に不可欠な場ですが,不適切な管理によって簡単にその機能が失われてしまいます。汚染土壌の修復,効率的な施肥管理,および生態系保全のため,土壌生成や土壌で起こる化学反応,土壌と生物との相互作用の観点から教育研究を行っています。 安定的な食料生産のためには,農地の整備と保全および農業土木構造物(水路,堤防,農道等)の維持管理が必要です。地盤を構成する土の物理・化学・⼒学的特性を解明し,構造物の設計・施工と農地の造成・整備・保全工法に活かすための教育研究に取り組んでいます。 農業生産の効率化を図り,また今後の気候変動に伴う不適切環境(高温,低温,豪雨,台風,水不足など)の頻発が懸念される状況でも,適応性が高く持続可能な高収益型食料生産を実現することが求められています.そこで,作物の生理生態機能の環境応答,高品質・高収量・環境保全を目的とする環境調節・スマート農業,および気候変動の影響評価・適応策などに関する研究を展開しています. 海・湖沼・貯水池を対象とした水質調査,化学分析,生物学的調査,さらには高度な数値シミュレーションを通じて,水圏環境の評価・解析・将来予測の視点から,本来あるべき水環境を学び,考える教育研究を行っています。①:富栄養化によりアオコが発生した農業用ため池の様子②:ボートによる採水風景③:水質分析④:富栄養化によって緑色に呈した農業用ため池での採水生物生産環境工学分野では、⾃然環境を保全しつつ、農業生産に不可欠な生産基盤や地域環境を整備し、農業農村の持続的な発展に取り組ために必要な専門知識として,農業農村工学・農業環境工学を学べます。私⾃身は、卒業研究として、農業用貯水池を対象とした水質調査、化学分析を行うことで、「銅イオンの殺菌効果を用いたアオコの発生抑制」に取り組みました。先生方や同期、先輩や後輩など様々な人に恵まれながら、充実した学生生活を送ることができました。現在、大阪府庁に就職し、公務員の立場から同府の農林水産業を支える仕事に携わっています。「農」と「環境」が直面する課題解決を幅広い分野から解決し,チャレンジしていきたい方は,生物生産工学分野にお越しください。土壌に栄養を持ち込む海鳥(カツオドリ)圃場整備と農地の保全土壌のナノ粒子(粘土鉱物)農業土木構造物の崩壊「農業農村工学・農業環境工学の 観点から農林水産業を支える!」2020年度 農学部卒業池田 麻友大阪府庁環境農林水産部農政室 国の行政機関(農林水産省等),独立行政法人(水資源機構,国際協力機構),県庁(農政部,土木部等),市役所,大学,高校,国公立の試験研究機関,建設会社,建設設計コンサルタント,気象コンサルタント,農業・食品関連企業などで行政マン(レディ),技師,教員,研究院,技術者として活躍しています。気象を通して次世代農業を創る持続的な土壌資源の活用のために健全な水圏環境を目指して!!①土を活かし,土環境を保全して健全な農地をつくる卒業生の活動の分野卒業生からのメッセージ

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