九州大学 農学部 ガイドブック 2024
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17 農業は,天候に左右される大変過酷な仕事ですが,かつては人手で行われていました。これでは,家族で食べる食料が少し余る位の量しか生産できませんでした。また,生産された農産物を加工・調製,貯蔵し,さらには無駄なく流通させることも必要ですが,これらも人手で行われていました。その段階から長い年月を経て技術開発が進み,現在では,昔に比べると数分の一あるいは数十分の一の人手で,しかも快適な農業生産・加工・流通が可能になりました。その過程で最も大きな役割を果たしたのは,農業生産・加工・流通の機械化や装置化に他なりません。すなわち,農業の発展には,その機械化や装置化が重要不可欠な役割を果たすといえます。 本分野では,このような機械・施設・装置を軸とした農業生産・加工・流通の合理化,さらにはこれらの利用に当たってのシステムに関わる課題を対象としています。最近では,これらは単に機械・施設・装置化による高効率化に加えて,人間工学に基づく作業の安全性・快適性,バイオテクノロジーに基づく生物機能の発現,農地・農村空間の環境保全等の多角的・総合的視野にたって,エレクトロニクス,メカトロニクス等の先端技術を駆使した自動化・ロボット化・無人化が実現されつつあります。また,利用・管理の面ではシステム工学的手法による最適生産・加工・流通システムの構築が活発に進められています。生物生産システム工学分野長 田中 史彦生物資源生産科学コース持続可能な食料生産と安全で新鮮な農産物流通を支える技術を形にする 地球規模で食料不足が深刻化し,我が国の農業が担い手不足により衰退する中,持続可能な方法で食料を安定的に生産し,国境を越えて農産物を流通させる技術の開発が求められています。生物生産システム工学分野は,農作業を効率化する農業機械・ロボット技術,食料の安定生産を支援する情報技術,安全で新鮮な農産物を消費者に届ける調製・加工・流通技術の高度化に関する教育・研究を行っています。分野長による分野紹介生物生産システム工学分野

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