九州大学 農学部 ガイドブック 2024
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32細胞の周囲に分布する細胞外マトリックス(ECM)は、構成因子の種類やその割合によって、細胞の増殖、分化、成熟の程度を大きく変化させます。また、ECMは、組織の物性(固さ、強度、物質の移動のしやすさ)を左右するキーファクターです。生理的、病理的状態下のECMの状態を把握し、細胞や組織の調節機構の詳細な解明を目指しています。またこの成果を応用することで、抗加齢(アンチエイジング)効果も期待できると考え、研究を重ねています。写真 上  : 修復過程の骨格筋。筋線維(赤染)の周囲には様々なECMが分布している。写真 左下:脂肪細胞の分化進行にしたがい、ECMの量と種類が変化(減少)する。写真 右下:ECMの量や種類を変えると、コラーゲン線維の形態や物性は変化する。写真A:筋肥大・再生を開始させる成長因子と受容体が筋肉に存在する。写真B:食肉成分を摂取すると筋肉の特性を担う筋線維の型が変換する。写真C:新規成長因子を投与すると筋肉が肥大する。 明暗周期や季節周期が動物の行動,神経,代謝に及ぼす影響を明らかにし,体内時計の乱れで生じるストレスや病気を改善できる栄養成分などを探索しています。各種行動試験,断層画像による体組成の解析,神経細胞の蛍光染色,遺伝子の発現解析などを行なっています。ストレス制御,産肉性制御,冬季うつの予防改善などへの応用を視野に入れています。 骨格筋の肥大・再生・萎縮・変換の分子機構を明らかにし,物理刺激や食品による身体能⼒の維持・向上,および食肉生産性の向上を目指して研究を行っています。これらの基礎研究は健康補助食品や医薬品への応用が期待されます。 私は「平⽇と休⽇の起床・就寝時刻の差により引き起こされる社会的時差ぼけ」に関する研究を行っていました。大学入学後に各専門の授業や実習を受けたり、研究室へ実際に訪問して、じっくり考えて専攻を選択することができたので、やりがいや興味をもって研究活動を行えました。  複数人で実験計画を立てたり、⾃分の研究内容を発表したりする経験は、仕事にとても役立っていると感じます。  九大農学部では、入学後に⾃分の興味と向き合いながら幅広い選択肢から進路を選択できますよ!「幅広い選択肢」2021年度 修士課程修了福島 早記株式会社野村総合研究所 卒業生は大学院進学の他,主に官公庁,農業団体,乳業・食品会社,製薬会社,畜産関係商社などに就職して活躍しています。細胞外マトリックスの調節機構と機能を解明し、抗加齢研究への応用を目指す筋肉の肥大・再⽣・萎縮・形質変換現象を調べる体内時計や季節リズムを動物⽣産や健康科学に応用する卒業生の活動の分野卒業生からのメッセージ

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