九州大学 農学部 ガイドブック 2024
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36人工林の育成技術の研究 スギ,ヒノキ,カラマツ,ミズナラ等様々な樹種を対象にした育成試験を行っています。育成技術の開発とともに人工林のもつ機能を多面的に評価するための試験と調査が行われています。森林と動物・昆虫との関係 ⽇本各地でシカなどの野生動物による生態系の改変が起きています。演習林では,植物だけでなく動物や昆虫などを同時に調査することで,森林の動きをとらえようとしています。森林の中で水・物質動態の測定 森林生態系において水や炭素や栄養塩がどの様に循環しているのかを測定し,樹木をはじめとする生物と土壌などの環境がどの様に関係しているのかを調べています。多様な森林における実習 ⾃然条件・社会条件の異なる地に存在する3つの演習林を活用した様々な実習を行っています。森林流域における水・物質循環の測定 森林流域から流出する水量や水質を調べ,森林流域に降った雨や物質がどのように変化して出て行くのかを調べています。長期森林動態モニタリング 樹木の成長や枯死など時間スケールの大きな森林動態を長期にわたりモニタリングしています。各演習林は⽇本および国際長期生態研究ネットワーク(JaLTER, ILTER)のサイトとして承認されています。奥地山岳の森宮崎演習林(2916ha)年平均気温10.9℃年降水量2822mm都市近郊の森福岡演習林(464ha)年平均気温16.5℃年降水量1670mm北方丘陵の森北海道演習林(3.713ha)年平均気温6.3℃年降水量815mm農学部附属教育研究施設森林の多様な機能から学ぶ 近年,私たちは,地球温暖化,酸性雨,砂漠化など,生物の生存を否定しかねない複雑で深刻な問題に直面しています。これらの問題解決には,森林が大変重要な役割を担っており,多様な森林の保全・育成,森林資源の利用,さらには森林と人間活動の関わりに関する研究が強く求められています。 このような課題に応えるため,農学部には教育研究のための森林「演習林」が附属施設として設置されています。演習林は,福岡演習林(篠栗町・久山町),宮崎演習林(椎葉村),北海道演習林(足寄町)の3演習林からなり,暖温帯から冷温帯にいたる日本列島の主要な植生帯をカバーしています。演習林ではこのような多様な森林フィールドを活用した教育と研究を展開しています。演習林

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