九州大学 文学部 2023
24/28

図1:火星の人面岩(Face on Mars)22人間科学コースHuman Science Courseなぜ人は見間違いを起こすのでしょうか。なぜ無意味な模様に意味を見出すのでしょうか。その背後にあるこころの働きを考えてみましょう。 あなたは幽霊の存在を信じますか?このような問いを投げかけられると、おそらく多くの人は非科学的だと否定するでしょう。しかし一方で、霊を見たという報告は非常に多く、現在でも後を絶ちません。もちろんこれらは思い込みであったり、偽物であったりというケースがほとんどです。とはいえ、じゃあやっぱり幽霊は居ないんだ、と思考を止めてしまうのではもったいないかもしれません。もし実際には居ないとしても、「ではなぜ幽霊を見たと感じるのか?」という問題は残ったままであり、そこから人のこころの本質に迫ることができるかもしれないからです。 図1は、NASAのバイキング1号が1976年に撮影した火星表面の写真です。よく見ると、中央の上方に人の顔のようなものが写り込んでいます。この写真が公開された当時は、火星人の遺跡ではないかといった憶測を呼んだそうですが、実際はくぼみや影がたまたま顔の輪郭やパーツの配置と重なってそう見えるだけで、高解像度のカメラで撮った最新の写真ではただの岩山であることが示されています。しかし、そうはわかってはいながらも、人の顔っぽいという意味を見出すこころの仕組み山本 健太郎 (心理学)認識のあり方

元のページ  ../index.html#24

このブックを見る