教育の目的 文学部は、各専門領域の研究者である教員と学生とが教育と研究を通して研鑽を行い、人文学的な知識・思考方法を習得する活気に満ちた学部です。教育の目的は、人文学的教養と知性を身につけ、研究や仕事の場で活躍する優れた人材を養成し、社会に送りだすことにあります。教育課程の特色 文学部は全体を一学科(人文学科)とし、哲学・歴史学・文学・人間科学の4コースの下に21の専門分野が置かれています。学生は一年間教養教育を受けた後、二年次からいずれかのコース・専門分野に所属し専門分野の講義・演習を受講するとともに文学部の全分野の多様な授業を履修することができます。そして最終的に、自らの関心に従って所属の専門分野からテーマを選び、四年間の勉学の集大成として自力で卒業論文をまとめなければなりません。 また、国際コースでは、一年次に独自の英語を重視した教養教育を受け、二年次からは国際コース以外の学生と同様にいずれかのコース・専門分野に所属するとともに、国際性を重視した独自の授業を履修します。人文学科の各コースの内容■ 哲学コース 哲学コースは、哲学・哲学史、倫理学、インド哲学史、中国哲学史、美学・美術史の5専門分野から構成されています。東西の文化的伝統の中で人類が生み出してきた様々な精神的所産̶哲学・思想・宗教・芸術にかかわる文献や作品̶を、厳密かつ真■に読解し、また思索することを通して真理の探求を行います。人類は東西の様々な文明圏において、多様な宇宙観・世界2 国立大学法人九州大学の歴史は明治36(1903)年にさかのぼります。この春、東京帝国大学、京都帝国大学に続く第三の帝国大学を九州の地に設置するために、京都帝国大学の一分科として京都帝国大学福岡医科大学が設置されたのです。やがて、明治44(1911)年1月1日に九州帝国大学が正式に設立され、文学部は、大正13(1924)年9月に、法文学部の一学科としてスタートしました。 昭和22(1947)年10月、帝国大学令が改正されて、帝国大学は国立大学となり、本学の名称も九州大学と改められました。次いで、昭和24(1949)年4月に法文学部が分離し、文学部が独立しました。また、同年5月には学制改革が行われ、旧制の九州帝国大学は新制九州大学に包括されました。さらに、昭和28(1953)年4月には新制度による大学院が発足し、文学研究科が開設されました。 文学部は設立当初17講座で発足しましたが、その後講座が増設されて、平成12(2000)年には、大学院重点化と研究院制度の発足に伴い、人文学科1学科4コース21専門分野という構成になりました。現在では、21の研究室と50万冊におよぶ蔵書を備え、人文学の拠点としてさらなる発展の機運に満ちています。さらに、平成16(2004)年度からは国立大学法人九州大学に移行し、独立大学法人としての新たなスタートを切りました。 文学部の目的は、文学部を構成する各専門分野を専攻し、それらの分野の知識や研究技術を習得し、それを通じて人間形成をはかることにあります。本学部の卒業生は、昭和3(1928)年以来令和5(2023)年3月までに、旧制1,069名、新制9,692名、計10,761名に達しています。卒業生は、学界、教育界、官界、さらには広く実業界にも迎えられており、現代社会の変化に対応できる新たな人材の育成にも努めています。 文学部の諸学問の根本は、私たちが用いる言葉を通じて、人間の本質とその営為を探求することにあります。ここで言葉は、単なる情報伝達の手段ではなく、人間の精神文化を培い、表現し、蓄積する知の宝庫を意味しています。言葉に自覚的かつ批判的に関わる中で、人間存在の奥深さへと眼差しを向け、文化・歴史・社会の多様性を認識し、新たな人文学的知の創造に寄与していくことが、文学部の教育理念です。2.文学部の教育プログラム文学部の学生受け入れ方針(アドミッションポリシー)1.文学部の教育理念沿革九州大学文学部の特色
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