九州大学 経済学部 CAMPUS GUIDE 2024
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23就職先福岡女子大学 講師私は、2010年に九州大学経済学部経済工学科に入学し、学部から博士までの8年間を過ごしました。ゼミ配属では、元々やりたかった経済学と数学の関係を勉強するために、数理情報講座のゼミから選ぶと決めていました。そして、恩師の小野廣隆先生(現名古屋大学大学院情報学研究科)と出会いました。小野先生は理論計算機科学やオペレーションズ・リサーチなどの情報学がご専門でしたが、ゼミ配属の前にお伺いして、経済学と情報学、そしてその背後にある数学の関係を丁寧に説明してくださり、これだと思って決めました。配属後は、グラフ(ネットワーク)と呼ばれる離散構造における重要部分構造抽出アルゴリズムの開発に取り組みました。私は2010年に九州大学経済学部に入学し、学部2年次に加河茂美先生の経済・経営学基本演習を履修した際に、環境経済学に出会いました。環境経済学とは、端的にいうと、環境問題を経済学の観点から分析する学問分野であり、「なぜ環境問題が生じるのか」、「環境問題を解決するためには何が必要か」といったことが分析対象です。私は、加河先生の演習を受ける以前は、環境経済学という存在すら知りませんでした。しかしながら、演習の時間に色々な議論に触れるにつれて、環境経済学に対する興味が高まり、3・4年次には加河先生のゼミに所属し、更にはそのまま大学院に進学するに至りました。大学院進学後は、とにかく研究室のメンバーに恵まれました。私は、2010年に九州大学経済学部に入学しました。学部で学んできた経済学の基礎は社会の仕組みを理解する上で非常に有効でとても興味深かったのですが、私自身はどうも「お金」に関する話は興味がないことも分かりました。そこで環境問題に興味があった私は、環境経済学の経済・経営学基本演習(加河茂美先生)を履修しました。環境経済学は、端的に言えば経済学のアプローチを使って環境問題や資源問題の仕組みを理解し解決することを目的とした研究分野です。これが私の興味・関心と合致し3・4年次も引き続き加河先生の経済・経営学演習(ゼミ)を履修し、ゼミの卒論で取り上げた研究テーマについてもっと深めていきたいと大学院進学を決めました。この研究テーマは、経済学とは関係があるものの、どちらかといえば理論計算機科学に関するものでした。修士に進学するときに自身の培ってきたグラフ的視点を経済学分野に応用したいという思いが強くなり、小野先生に相談すると、経済経営学科の加河茂美先生を紹介してくださりました。加河先生は産業連関分析と呼ばれる経済分析がご専門ですが、グラフ理論などにも詳しく、実経済データのグラフ的分析に関する研究をしておられました。私は、アルゴリズムの研究をする一方で、経済ネットワーク分析に関する共同研究も始めました。同時に二つの研究を行うのは大変でしたが、博士課程の間に両分野の論文を英文誌と国際会議で発表することができました。このような経済学と情報学の両分野をつなぐ学際研究ができたのは経済工学科ならではだと思います。そして、初学者だった私を熱心に指導してくださった小野先生、加河先生には感謝の言葉もありません。 最後に、九州大学経済学部経済工学科にはこのように素晴らしい先生方がおられ、また幅広い分野をつなぐ最先端の研究を行うことができます。自分自身のやりたいことを見つけ、切り開いていってください。私は、「博士後期課程に進学するからには大学教員を目指そう」と決めていたのですが、私の在学中に、加河研究室からは2名の先輩方が大学教員として就職され、お手本となる先輩方を身近に感じられたことは非常に貴重な経験でした。また、加河研究室の博士後期課程に在籍する日本人学生の数は、日本の同分野の研究室の中でもトップクラスに多く、また、在籍するほとんどの学生が査読付きの英文誌に論文を掲載しているなど、研究室の規模と質の両面において全国的にもトップレベルと言えるものでした。常に切磋琢磨しながら研究に打ち込む環境があったことは、大学教員を目指すにあたって、この上ない環境だったと思います。また、研究室のメンバー同士の仲も良く、愚痴を言い合ったり、気晴らしにみんなで遊びに行ったりと、とても楽しい研究室生活を送らせてもらいました。まだまだ書き足りないことは多いですが、九州大学の経済学部には素晴らしい先生方に加えて、レベルの高い学生も多く、自分の可能性を広げるためのこれ以上ない環境があります。ゆっくりで構いませんので、是非、大学生活の間に将来の目標を持ち、その実現に向かって有意義な毎日を送ってください。大学院進学後は、将来は研究者として社会の役に立ちたいと考えていましたが、指導教官である加河先生の精力的な指導と優秀なゼミメンバーたちに大いに刺激を受けて自分の研究に打ち込むことができました。この点で私がいた研究室は研究者としての素養を身につける最良の環境だったと言えます。また、学内の先生方とはもちろん、他大学や研究機関の研究者と交流する場が設けられトップレベルの議論を経験できたことも貴重な財産です。話は少し変わりますが、女性の大学院進学者は依然として少ない現状があります。「女性だから」という理由だけで大学院に進学しないのはもったいないです。なぜなら、大学院には男女関係なく学問を目指すものたちに開かれた質の高い研究環境が用意されているからです。また、女性だからこそ気付けることや明らかに出来ることがまだまだたくさんあります。この新しい視点がこれからの社会の問題解決において非常に重要になると、私自身信じています。九州大学経済学部・経済学府には、自分の可能性を広げる出会いと経験が待っています。人生を豊かにする一つの選択肢として、是非、皆さんも九州大学経済学部の進学を考えてみてください。土中 哲秀 HANAKA Tesshu九州大学経済学部卒業を経て九州大学経済学府修了(2018年3月)就職先中央大学理工学部情報工学科 助教江口 昌伍 EGUCHI Shogo九州大学経済学部卒業を経て九州大学経済学府修了(2018年3月)就職先福岡大学経済学部 講師白新田 佳代子 SHIRONITTA Kayoko九州大学経済学部卒業を経て九州大学経済学府修了(2019年3月)

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