九州大学 2024年度 理学部案内
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理学とは学部長メッセージ沿革・組織国際理学コーストピックス先生からのメッセージ化学科地球惑星科学科数学科生物学科キャンパスと関連施設就職・進路OB・OGからのメッセージ 国際交流入試情報 理学(サイエンス)は、自然の成り立ちとその示す法則性を明らかにし、私たちの自然に対する理解を深めるとともに、人類の平和、社会の発展、地球環境の維持・改善に貢献することを目指す学問です。宇宙・地球、生命・生態、物質の機能・変換、数と図形などを対象とする理学は、宇宙科学、地球惑星科学、生物学、物理学、化学、数学、情報科学などの多くの分野から成り立っています。 対象とする系と現象、基本的な考え方の違いによってこれらの分野に分かれていますが、それぞれの分野は互いに密接に関連しています。ビッグバン直後の宇宙の構造の理解には素粒子物理学や原子核物理学が不可欠であり、中性子の散乱・回折は、物理学だけでなく化学、地球科学でも重要な実験手段となっています。また、数学上の新しい概念の出現が物理学の発展のきっかけになることもあり、生物化学的方法は生命科学の研究になくてはならない方法となっています。 理学の主な目的は、自然のより深い理解にありますが、理学のもたらす新しい知見は、多くの分野で人類の役に立っています。陰極線の実験中に偶然見つけられたX線は、結晶やDNAの構造決定に主要な役割を果たしただけでなく、医療現場では今や必須の診察手段となっており、また最近では考古学や建築現場でも用いられています。 科学の研究は、三つの段階を経て発展します。まず、最初の発見に導く基盤的な研究が行われます。この段階の研究は、人類のもつ知的好奇心に負うところが多いものです。「砂浜で見かける風紋はどうしてできるのだろう」、「オーロラはなぜカーテンのような動きをするのだろう」、「筋肉はなぜ力を出せるのだろう」、「物質は一体何からできているのだろう」、あるいは「実数が連続しているというのはどういうことであろう」などの素朴な疑問が研究の推進力となっています。ひとたび発見が行われますと、その現象のより詳細な理解に向けた発展的な基礎研究が行われます。実用化が可能な発見は、現象が十分理解された後に初めて、応用を目指した研究に移されます。理学として行われる研究は、主として初めの二段階、基盤的研究と発展的基礎研究です。これらの研究をとおした、現象の発見およびその法則性の認識が新しい発見を導き、また応用研究へと発展します。このように理学は、自然を理解する体系を与えると同時に、工学、農学、医学、薬学などあらゆる応用科学の基礎となっています。 20世紀は科学の時代であったといっても過言ではありません。現在の情報化社会は、数学、物理学、化学の成果が融合して、達成されたものです。また、最近人間の遺伝子情報が完全に解読され、新たな展開が期待されています。一方、人類は放射能廃棄物、地球温暖化などの環境問題、エネルギー・食料・水の問題など多くの課題に直面しています。これらの課題を解決するためには、これまで培われてきた理学の手法をさらに発展させ、新たなパラダイムを創出することが必要です。 21世紀は、私たち人類の知が試されるときです。これらの課題を乗り越えて、人類がさらなる発展を遂げるために、理学の果たす役割はいっそう重要なものとなっています。教育・研究内容物理学科

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