九州大学 2024年度 理学部案内
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19講 義計算機数学概論「マス・フォア・インダストリ研究所」数学の問題を計算機を用いて解決するためのアルゴリズム、プログラムの構造、プログラミング言語(C、Mathematica、MATLAB)を学び、実際にプログラムを作成し実行します。このようなコンピュータ関連の講義や演習が1年次から4年次まで系統的に開講されるので、プログラミング、数値計算、データ処理、統計処理、数式処理、画像処理など、様々な課題について学ぶことができます。コンピュータと数学との結びつきは、今後ますます重要になるでしょう。トポロジー図形などの幾何学的対象について、それらをグニャグニャと連続的に変形しても変わらない性質を、様々な視点から研究します。複素解析学三角関数、指数関数、対数関数は変数を実数に限らず複素数にしたほうが性質がよく分かります。その様な複素変数の関数が持つ美しい性質を研究します。微分幾何学曲線や曲面という身近な図形の研究は、微分方程式の解全体の空間というような、とても目に見えそうにない空間を調べることにも発展します。整数論フェルマーの定理の証明に力を与えた楕円曲線、保型形式、保型表現、ガロア表現をはじめ、ゼータ関数、多重ゼータ値などの研究が活発に行われています。代数幾何学いくつかの多項式の共通零点として定まる図形を多視点から研究し、図形の複雑さを解きほぐし、不思議な有様を発見する研究分野です。数理物理学場の量子論、統計力学、流体力学を起源とする数学的な問題を関数解析、確率論などの解析的手法を用いて解決することを目標とします。現象数理学動物の模様や骨格、あるいはタンパク質の構造や噂の広がり方など、生命、物質、社会に見られる様々な現象の本質を数理モデルを通して研究します。数理学研究院に設けられていた「産業技術数理研究センター」が、平成23年4月1日に「マス・フォア・インダストリ研究所」として数理から独立しました。本研究所は数学と産業技術の相互依存的な発展の仕組みを形成し、産業界と大学との人材交流を促進することを目的としています。共同研究のみでなく、産業界で活躍できる優れた数理的人材の育成も目指しているので、応用に重点を置いた数学を研究したい学生はこの研究所に所属する教員から指導を受けることも可能です。確率論統計物理学、量子力学、経済現象などに現れる決定論では説明できない不確実な現象を数学的に定式化し解析、研究を行います。作用素環論元々は量子力学の研究に由来する数学的対象で、一般に積の交換法則xy=yxが成立しない非可換性が特徴です。このような非可換性に関係する性質を研究します。非線形偏微分方程式論物理学、生物学、工学等に現れる様々な非線形偏微分方程式に対し、数学解析の手法により解の様々な性質を明らかにします。計算数理学パソコンからスパコンまで種々の計算機を使って、科学技術計算を実行するための数値的手法の開発、解析、応用を行います。数理統計学複雑系、ヒトゲノム解析など、科学の最先端のデータと取り組む中で、新しい数学を切り開き、理論を発展させています。表現論正多角形の美しい対称性をはじめ、様々な数学的対象がもつ対称性を明らかにする研究です。数学や物理学の広い領域に深く関係しているのが特徴です。暗号理論暗号はインターネットの安全性を守る技術として使われていますが、その安全性は素因数分解などの数学的問題の計算困難性によって支えられています。数学科で行われている研究

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