九州大学 2024年度 理学部案内
22/30

olBiogy生物学科分子から集団までの生命現象を総合的に科学する。植物におけるCO²感知の分子機構 20大気中CO²の上昇が地球規模の環境問題として顕在化する中、高CO²時代における植物の生理的変化と適応に関する分子メカニズムを解明することは、地球上で生を営むすべての生き物の未来を予測する研究として注目されています。植物は環境のCO²濃度に応じて、葉の表面に点在する気孔の開度を変化させることにより、光合成反応の基質であるCO²の流入を調節しています。私たちは植物におけるCO²感知のメカニズムを明らかにするために、CO²に依存した気孔応答にかかわる突然変異体の分子生理学的研究を進めています。 気孔はCO²の通路であると同時に、蒸散のための水分のゲートとして機能しています。低CO²条件や光照射下では、CO²をより多く取り込むために気孔は開きます。逆に、高CO²条件や乾燥条件下では、水分の喪失を防ぐために気孔は閉鎖します。気孔が開くと蒸散が盛んになり、気化熱が奪われるため、葉面温度は低下します。その温度変化をサーモグラフィで検出する手法を用いて、これまでに植物のCO²感知・適応に関する数々の重要因子の発見に成功しています。 基幹教育科目(1年次開講)専攻教育科目(基礎生物学)高年次基幹教育科目基幹教育科目(2年次開講)専攻教育科目(発展的科目)専攻教育科目(実習•演習)生物学演習 Ⅰ卒業研究(必修)(必修)生物学特別講義(発展的科目)国際生物学特別講義(選択科目)1年次は、人文科学、社会科学、自然科学、外国語などの教養科目や基礎科学科目を学びます。2年次から専門科目、実習および演習が開講されます。4年生になると各研究室に所属して、卒業研究に取り組みます。また、生物学科で指定された科目を履修することで、中学校または高等学校の教諭一種免許状を取得することができます。分子、細胞から個体、そして集団の生物学へと幅広い分野での研究が、実験室の研究、野外での調査・研究、理論的研究など様々な方法ですすめられています。また、その幅広い研究に基づいたバランスのとれた教育が行われています。入学後、基本的科目から始めて、順次高度な特色のある科目を履修し、専門性を身に付けます。卒業研究では特定のテーマについて研究しますが、教員や大学院生とのディスカッションから知識・実験技術・判断力などを学ぶとともに、与えられるだけの学習には無い自分で何かを創り出す喜びを味わうことができます。1年2年▲ゲノムの塩基配列決定現在の生物学にはゲノムの塩基配列情報が必要不可欠です。塩基配列の決定はDNAシークエンサ―を使って、一度に何千塩基も自動で決めることができます。▲細胞の観察生物のしくみを知るためには個体を扱うだけでなく、それを構成する細胞を取り出して培養し、その増殖、発生分化、機能発現等様々な研究に用います。3年4年学科のカリキュラム生物学科の研究と教育内容

元のページ  ../index.html#22

このブックを見る