九州大学 2024年度 理学部案内
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011988年東京大学大学院理学系研究科物理学専攻 修士課程修了1992年同 博士課程修了、博士(理学)1992年東京大学理学部 助手1997年豊田工業大学 受託客員1998年同 受託客員助教授(常勤)2006年同 受託客員教授(常勤)2010年九州大学理学部 教授2022年九州大学理学部長専門分野 物理化学卒業助手(常勤)寺嵜  亨(てらさき あきら)(化学科教授)1986年東京大学理学部物理学科 考える力で未来を拓こう 九州大学理学部は、物理学、化学、地球惑星科学、数学、生物学の5学科で構成され、基礎科学のほとんどの分野を網羅する教育と研究が行われています。1939年の設置以来、80余年の歴史を刻み、これまでに巣立った1万5千人を超える卒業生が、産・学・官にわたる様々な分野で、世界を舞台に活躍しています。広く社会で活躍する人材の輩出に向けて、今後も一層の発展が期待されています。 理学は自然科学の基礎に取り組む学問分野です。私たちは、自然を深く理解する知的好奇心に突き動かされて、事象の普遍性を解き明かし、知見の体系化を試みます。そのために、未知の事象を発見しその起源を明らかにする、最先端の研究に取り組んでいます。世界の動向の中で理学の重要性を示す最近の話題として、新型コロナウイルスのワクチン開発が挙げられます。人体に用いることは困難とされていた非主流の研究を地道に継続し発展させた結果が、人類を救う成果につながっています。また、地球規模の気候シミュレーションを先駆的に行って気候変動や地球温暖化を予測する成果を生んだ研究も、大きく注目を集めています。 さて、理学部の学生は、実験、観測、理論に基づく研究活動の中で、論理的な思考力を鍛えます。知識を身につける授業では答えの分かった問題を扱いますが、研究は、答えの有無すら分からない問題に取り組む点が大きく異なります。この文字通り手探りの作業を楽しみながら、自由な発想で独創的な思考を生み出す過程で、理学教育が最も重視する「考える力」が磨かれてゆきます。理学部と他の理系学部との違いについて質問を受けることがよくありますが、その答えは社会が理学部の学生を求める理由にあると言えるでしょう。つまり、今の課題への即戦力よりも、むしろ将来の予期しない新たな課題に柔軟な思考で対応する「考える力」が期待されているのです。 理学部を卒業すると、7~8割の学生が大学院修士課程に進学します。修士課程を修了すると多くの学生は就職し、高度な理学専門家として活躍します。一方、先端的な研究者を目指す学生は、さらに博士課程に進学します。現状の博士課程進学率は1~2割ですが、日本政府は博士の育成に強く力を入れ始め、学生への経済的支援も充実してきています。今後、博士号の学位を持って世界で活躍する人材が大きく増加することが期待されています。このように、九州大学理学部とその大学院は、「考える力」で世の中の新たな問題に果敢に立ち向かい、国際社会を牽引する人材の育成に、力強く取り組んでいます。 この冊子は、理学に興味を持つ高校生を主な対象として作成されています。理学部ホームページや夏季に開催されるオープンキャンパスも利用して、皆さんが九州大学理学部のことをよく知って魅力を感じていただきたいと思います。そして、将来ぜひ私たちと一緒に考えることを楽しみ、研究の醍醐味を味わってもらえたなら、この上ない喜びです。

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