九州大学 医学部 生命科学科紹介 2023
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九州大学医学部生命科学科は、平成19年に設立され、医学の素養を持った生命科学者の育成を目指しています。初期の卒業生たちは、大学院を修了し学位を取得した後、国内外の大学や研究所で研究職に就き、現在生命科学の最前線で活躍しています。生命科学とは、広範な領域を対象とし、基礎的な内容から応用に近い内容まで多岐にわたります。現在では、理系のほぼ全学部に生命科学関連の学科が存在していると思います。では、医学部にある当学科の特徴は何でしょうか?それは、ヒトという細胞種に的を絞り、その正常な状態ならびに病的な状態について、多角的かつ系統的に学ぶという点にあります。当学科の学生は、将来医師になるための医学科学生と同じカリキュラムで、基礎医学としてのヒトの生命科学を徹底的に学びます。これにより、他の学部では修得が困難な「ヒトを個体として捉える独特のセンス」を育むことができます。また、当学科の大きな特徴として、早期から「最先端の生命科学の研究現場」を経験する機会が用意されています。この2つの教育方針のもとで、医学の素養と実践的な研究能力を兼ね備えた人材を育成し、基礎医学の進歩に貢献することが当学科の使命です。基礎医学は、生命科学や疾患のメカニズムを解明することで、未来の医療の基盤を築く学問です。最先端の技術であるAI(人工知能)や遺伝子療法のような革新的な手法を取り入れることで、基礎医学はさらなる飛躍を遂げています。すなわち、基礎医学は将来的に何億人もの患者を救う可能性を秘めています。ただ、生命科学による本質的な発見は、医学的な応用や医療に限定されず、世界観を変える重要なインパクトを持つものです。興味と学修意欲を持った皆さんが、最先端の技術と生命科学を融合させるこの学問への入学を希望し、互いに刺激し合いながら未来を切り拓いていくことを願っています。九州大学医学部生命科学科長新納 宏昭「医学部において生命科学を学ぶという選択」

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