九州大学 歯学部 2023
12/28

11大学病院での歯科医師の仕事九州大学病院 高齢者歯科・全身管理歯科 助教 井上 良介 (福岡県立筑紫丘高等学校卒)●歯科医師国家試験合格率KYUSHU UNIVERSITY, SCHOOL OF DENTISTRY 2023 九州大学歯学部に興味をもたれているみなさん、こんにちは。九州大学インプラント・義歯補綴学分野の松中と申します。私は九州大学歯学部卒業後、1年間の研修を経て、大学院に進学しました。今回は、学部卒業後の大学院についてお話させていただきます。 歯学部は、6年間の学生生活を送り、国家試験に合格すると、1年間の研修医生活を送ります。その後、開業医で勤務医をしたり、大学病院で働いたり、大学院に進学したりと、様々な選択があります。その中で私は、大学院進学という選択をしました。 みなさんは、大学院と聞くと、どのようなことをイメージするでしょうか。研究をバリバリしていて、日々試験管と向き合うみたいな生活をイメージされるかと思います。もちろんそのようなパターンもあるかとは思いますが、私の大学院生活は違いました。私の所属するインプラント・義歯補綴学分野では、研究ももちろんしますが、臨床も行います。大学院進学を拒む一つの因子として、臨床経験ができないと考える人もいると思います。開業医で働く友達はバリバリ臨床をしていて、自分は院に進むとできないんじゃないかと考えるかもしれません。しかし、そんなことはなく、大学院に進んだとしても臨床をしっかり行うことができ、私たちの科で言うとしっかりと修 私の所属している高齢者歯科・全身管理歯科は病気や服用薬剤のために歯科治療を受けにくい患者さんを中心に、医科の診療科と連携を取りながら診療を行っています。歯科を受診がするのが怖い人に対して全身麻酔や鎮静法を用いた歯科治療を行います。また全身麻酔での手術や、化学療法・放射線療法などを行う上で口の中の問題に対応し、全身の治療が上手くいくようなお手伝いをするのも重要な仕事です。手術が無事終わり、改めて口から食べ物を摂取できるかどうかの評価やリハビリも行います。歯医者さんの仕事は歯の治療だけをするというイメージが強いですが、九大病院医療スタッフの一員として、日々、いろいろな職種の人たちとチーム医療を行っています。また、口腔機能と認知症に関係する研究も行っています。日本では65歳を超える高齢者が3千6百万人を上回る超高齢社会に突入し、認知症患者が増加することが予測されます。認知症になる前段階の軽度認知症は、対策を取らないとほとんどの人が数年以内に認知症に進行すると言われています。このような方たちの口の機能を調べることで認知症の早期発見につながらないか、歯科が介入することによって認知症への進行を防ぐことができないかというテーマの研究を行っており、高齢社会問題にも歯科から取り組むことができます。歯科医師を目指す受験生の皆さん、このようなやりがいのある仕事を私たちと一緒にやってみませんか。●進路(卒業後臨床研修先について)令和5年3月卒業生の進路は以下の通りです。 (4月1日現在)  九州大学病院       19名  その他の大学病院など   17名  その他          11名練を積めば、インプラントを埋入したりと臨床家としてスキルを上げることもできます。 また、研究においても、今後の歯科医師生活を向上させるスキルをみにつけることができます。例えば、研究を行うにあたり、今わかっている情報を整理する必要があります。情報社会の現代において、正しい情報を取捨選択することはとても大事です。そのスキルを大学院では、上の先生の指導の下で身につけることができます。さらに、スケジュールを管理し、マネージメントをすることも今後の生活に生きてくると思います。そして、研究が進んでいけば、学会等において広い会場で大勢の聴衆を前に自身の研究成果を発表する経験もできます(写真参照)。これは、院に進学しなければなかなか機会がないことだと思います。 私の大学院4年間は、様々な経験をすることができました。研究がうまくいかず辛い時期もありました。しかし、たくさんの人の助けをかりながら、壁を乗り越えることができ、人として成長できたと思います。大学院は、歯科医師としても人としても、成長できる環境だと思います。受験生のみなさん、今後歯学部に入学し進路に悩んだときは、大学院に進学という選択も考えてみてください。九州大学全国平均R583.8%63.5%日本口腔インプラント学会での学会発表R4R382.2%78.6%61.6%64.6%インプラント・義歯補綴学分野 研修登録医松中 健 (AICJ高等学校卒)KYUSHUUNIVERSITYSCHOOL OFDENTISTRY2023「大学院4年間をふり返って」臨床の前線で活躍する卒業生からのメッセージ研究中の大学院生からのメッセージ病院キャンパス時代̶卒業後

元のページ  ../index.html#12

このブックを見る