九州大学 大学院薬学府・薬学部 2023
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創薬科学部門Frontier in Biofunction of Nucleic Acid and Organic Chemistry 私たちは、核酸有機合成化学を基本に生物有機化学の先端的な研究を行い、医療に貢献する機能性核酸分子の創造を目指しています。病気に関係する遺伝子情報をもとに、ガンなどの難治性の病気の画期的な治療法(核酸医薬品など)が誕生すると期待されています。 遺伝子の情報はメッセンジャーRNAに転写され、その情報をもとにたんぱく質が合成されます。遺伝子の「傷」は最終的にはたんぱく質の「傷」となって病気の原因になる可能性があります。1個の核酸塩基の異常のように小さな異常がガンなどの病気の原因になることが明らかになっています。私たちは、遺伝子に入った「傷」そのものに特異的に結合する分子つまり遺伝情報を正確に「読みとれる」分子を創成し、細胞内で機能させる新しい治療法の確立することを目的に、つぎのような具体的なテーマで研究を行っています。  1. 遺伝子(2本鎖DNA)に作用する分子この研究テーマでは、2本鎖DNA配列を正確に認識して、3本鎖DNAを形成可能な分子を設計して化学合成しています。3本鎖DNAを形成させることにより、遺伝子発現の人工的コントロールが可能になります。  2. 核酸医薬を指向した修飾オリゴ核酸の創成核酸医薬品の開発には欠かせない化学修飾オリゴヌクレオチドの合成と機能評価を行っています。  3. 損傷核酸認識分子の創成細胞内で発生する損傷核酸を認識可能な分子を設計して化学合成しています。特に酸化損傷塩基は、ガンや遺伝子変性疾患への関与が疑われ、バイオマーカーの新たな検出技術、診断技術への展開を期待しています。  4. 天然擬態核酸の創成天然核酸の構造を模倣(ミミック)した分子は、想定外な機能の発現が期待されるため、有機合成技術を駆使して天然擬態分子を創りあげています。  5. RNAに特異的に反応し、機能を改造する分子の創造異常な機能を有するRNAを正常に戻す可能性を追求しています。准教授 谷口 陽祐[博士(薬学)]Associate Professor Yosuke Taniguchi, Ph. D. 研究室では、日夜活発に実験をしています。スポーツやハイキングなどを通してお互いの親睦も深め、研究室一丸となって、世界に二つとない核酸分子を基本とした機能性分子を作り、薬学の発展に貢献したいと頑張っています。分野連絡先分野連絡先[Research]The research activities of the laboratory of “Frontier in Biofunction of Nucleic Acid and Organic Chemistry” have focused on the following topics: (1) new artificial nucleosides for the formation of the triplex, (2) modification of oligonucleotides, (3) the new detecting method for the damaged nucleosides, (4) development of nucleic acids mimicry, (5) reactive oligonucleotides for selective modification of RNA.  【代表論文】1. Notomi R., Sasaki S. and Taniguchi Y.*, Nucleic Acids Res., 50, 12071-  【ニュース】平成29年度(2017年度)日本核酸医薬学会奨励賞 谷口陽祐 「アンチジーン核酸創薬を志向した非天然型3本鎖DNA形成可能な核酸誘導体の開発」12081 (2022)2. Miyahara R., and Taniguchi Y.*, J. Am. Chem. Soc.,144, 16150-16156 (2022)3. Shi H., Ishikawa R., Heh C.H. Sasaki S. and Taniguchi Y.*, Int. J. Mol. Sci., 22, 1274 (2021)4. Wang L., Okamura H., Sasaki S. and Taniguchi Y.*, ChemComm., 56, 9731-9734 (2020)5. Taniguchi Y.*, Magata Y., Osuki T., Notomi R., Wang L., Okamiura H. and Sasaki S., Org. Biomol. Chem.,18, 2845-2851 (2020)6. Taniguchi Y.*,, Wang L., Okamura H. and Sasaki S., Current Protocoles in Nucleic Acids Chemistry. 77, e80 (2019)7. Wang L., Taniguchi Y.*, Okamura H. and Sasaki S., Nucleic Acids Res. 46, 8679-8688 (2018)8. Okamura H,, Taniguchi Y.*, Sasaki S., Angew. Chem. Int. Ed. 55, 12445-12449 (2016) 9. Taniguchi Y*., Kikukawa Y and Sasaki S., Angew. Chem. Int. Ed. 54, 5147-5151 (2015)谷口 陽祐(Yosuke Taniguchi)谷口 陽祐(Yosuke Taniguchi)TEL : 092-642-6569, FAX : 092-642-6876E-mail : taniguch@phar.kyushu-u.ac.jpURL : https://bioorg.phar.kyushu-u.ac.jp/准教授 谷口 陽祐Associate Prof. Taniguchi34先端的核酸創成化学分野

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