三重大学 生物資源学部・大学院 生物資源学研究科 学部案内2019
17/28

海洋生物資源学教育コースの研究室を紹介します生物海洋学海洋に生息する植物プランクトンの個体群動態と環境要因との関係ならびに植物プランクトンを出発点とする物質循環について、浮遊生物学的および海洋化学的な視点から教育研究を行っている。現在取り組んでいる主なテーマは次の通りである。(1)植物プランクトンの群集構造に関する研究(2)有害・有毒微細藻類の生理生態学的研究(3)Th-234をトレーサーとした有機物質の下方輸送見積もり水族生理学魚類感覚器の特性解明を主な研究テーマとする。視覚の機能特性(視力・視野・色覚・光感度など)を組織構造や遺伝子解析により調べ、魚類が様々な水深・水域の光環境に適応して多様性を形成した仕組みを理解する。また、餌生物由来の化学物質に対する嗅覚や味覚の感受性を調べ、摂餌生態との関連や摂餌刺激機構の解明を行う。遊泳・摂餌行動の日周期性や生物時計の関与についても研究する。さらに、得られた知見を高い生産性を実現し、かつ生態系保全にも配慮した魚類増養殖技術開発へ応用する研究も行う。海洋生態学海と陸が出会う海岸域は多様な海洋生物を育む重要な場所である。海洋生態学研究室は、海と陸の境界領域である海岸域の多様な環境(干潟、砂浜、塩性湿地、感潮河川、藻場等)を生物が生息場所としてどのように利用しているかを教育・研究している。さらにまた、海産絶滅危惧種や外来(移入)種の生態解明に関わる教育・研究にも取り組んでいる。水圏資源生物学水産上重要な二枚貝類の持続的有効利用を目指し、それらを中心とした水圏無脊椎動物(アコヤガイ・アサリ・シジミなど)を対象として、発生、遺伝、生態に関する研究を行う。現在行っている研究の具体例は以下の通りである。(1)アコヤガイ高品質真珠養殖技術に関する研究(2)二枚貝の初期発生と繁殖様式に関する研究(3)雄性発生種タイワンシジミの分子遺伝学的・生態 学的研究(4)二枚貝の消化機構と摂餌生態水圏分子生態学水圏分子生態学教育分野では、「DNA情報から生物の多様性(生態、形態、行動)の謎と歴史(進化)を探る」を目的として、魚類を中心とした脊椎動物、軟体動物を対象に研究を行っている。具体的内容としては、(1)生物進化ならびに適応様式の解明(2)外来種の定着成功のメカニズムの解明(3)希少種保護に向けた知見の収集(4)分子情報を用いた育種技術の開発が挙げられる。海洋個体群動態学水産生物の個体群動態を明らかにするとともに、管理・保全するための理論と応用に関する教育研究を行う。現在、(1)我が国の沿岸沖合資源の評価や管理、(2)水産資源学の数学的理論、(3)渓流魚の資源管理、などについて教育研究を行っている。応用行動学水生動物の行動計測と生息域の環境観測をもとに、生態や分布の特徴と環境との関連を明らかにする。具体的には、魚類や甲殻類の行動計測装置の開発、生息環境の把握、実験装置内で生息環境の再現、行動の周期性解析、感覚器官の能力解析、環境変化に対する適応能力の解析等である。その応用として水産資源の効率的かつ持続可能な漁獲・利用に関する教育研究を行う。藻類学海藻・海草群落は藻場と呼ばれ、沿岸域の主要な一次生産者としての役割を持つ。藻類学研究室では、沿岸生態系における藻場の役割に関する知見を得ること、海藻・海草の生育に必要な環境要因を解明すること、それらを応用して藻場・海藻の増養殖手法を開発することを目的としている。そのために、野外調査と室内実験により、物理的・生物的環境要因と海藻・海草との相互作用を教育研究している。浅海増殖学浅海域は太陽からのエネルギーを基礎生産の源とした海洋における主要な生物生産活動の場である。本教育研究分野では、浅海域に生息する多種多様な水圏生物の生理・生態・増殖メカニズムを解明し、浅海域の高い生産性を利用した食料生産の場としての有効活用と、その持続的な発展を阻む様々な問題解決を目的とした教育研究を行う。さらには現在大きな問題となっている気候変動などの地球的規模の環境変化が、浅海域の生物生産に与える影響に関する研究も行う。先端養殖管理学健全な養殖魚介類の安定的生産を阻害する諸問題を先端の科学技術を応用して解決するための教育・研究を行う。最も注目すべき病害の問題に対しては個体、細胞および分子のレベルから病態や病原因を総合的に解析し、有効な診断法、治療薬および予防法を開発するとともに、それらを利用した病害防除に関する研究を行う。養殖魚介類には数多くの疾病が存在するが、甚大な産業的被害を引き起こす感染症に関する研究は重要なテ-マである。当研究室ではウイルスや寄生虫などの病原微生物、ならびに被害を受ける魚類、甲殻類および貝類などの様々な生物を対象にして研究している。魚類増殖学近年、海や川、湖における魚類の減少が著しい。その原因は、汚染や破壊などの環境の悪化、乱獲、外来生物の侵入などさまざまであるが、多くの場合、人間の活動が要因である。我々が原因で減少している魚類を、どうすれば増やす事ができるのか。魚類の生態や生活史を明らかにする事によって、魚類の視点から魚類を増やすための研究に取り組んでいる。また、伊勢湾や熊野灘に生息する鯨類の生態や、水族館で飼育されている鯨類についても研究を行っている。海洋生物資源学科の研究室紹介学科・研究室の教員紹介については、教職員紹介パンフレットを参照してください(裏表紙にQRコードがあります)15Faculty of Bioresources 2019

元のページ  ../index.html#17

このブックを見る