三重大学 生物資源学部・大学院 生物資源学研究科 学部案内2023
6/28

ф 人間は衣・食・住を基礎とした人間らしい生活を実現するために必要な資源を農林水産業により持続的に生産している。そのうち、食糧となる食用作物や工業原料となる工芸作物などの資源作物について、それぞれの特性を明らかにし、有効な栽培・利用方法をみいだそうとする学問が資源作物学である。三重県特産品のイセイモ、ダイズ、水稲などの新品種育成や環境保全型農業生産技術の開発を通して地域の農業に貢献している。 ウシ・ブタ・ニワトリの作る肉・牛乳・卵を食べることで、人は良質のたんぱく質を摂ることができ、健康の維持ができる。私達の研究室では「動物のホルモン分泌」や「エサの消化に重要な微生物」について調べることで、動物の生産性を高めるための基礎的な研究を行っている。 動物の生産性を高めることができれば、より少ないエサで動物を飼うことができ、環境に対する負荷も減少するので、食料問題や環境問題の解決につなげることができる。 植物の病気を効果的に防ぐためには、正しく診断し、病原の種類や生態を正確に理解する必要がある。 私達の研究室は、植物病害の診断、防除指導ができる人材を育てる事を目標に教育を行っている。 研究では、植物病緑環境計画学害の主要な原因となる菌類の分類、多様性、系統、生態について、野外調査、顕微鏡を使った形態学的方法、遺伝子解析等の分子生物学的方法を併用して研究を行っている。 育種とは、人間にとって望ましい方向へ生物の遺伝的性質を改変する技術であり、品種改良と言い換えることもできる。 私達の研究室では、植物の育種にとって重要な生殖機構(受粉・受精、自家不和合性、花器官形成など)の研究を中心に、遺伝子・ゲノムレベルでの研究を行っている。 また、植物への遺伝子導入技術を用いて、育種に有用な遺伝子の機能解明や遺伝子組換え植物の作出を進めている。 園芸植物がもつ有用な様々な機能を、果樹や野菜の栽培の改善に役立てるために研究を行っている。果樹では、温帯果樹の受精や果実の発育・成熟に関する生理・生化学的研究を行い、野菜では、環境ストレスに対する生理・生化学的反応の解明とこれらに基づいた高品質野菜の栽培法の確立を目指している。※注:現在果樹担当教員欠員のため果樹関連の研究は休止中 私達の健康を支える乳や肉の生産に欠かせない「飼料資源」を効率的に利用するために、乳牛や肉牛による栄養素の利用性について研究を行っている。「飼料資源」は穀物や牧草だけではなく食品製造で発生する副産物など様々である。 それらに含まれる栄養素が乳牛や肉牛の消化管内でどのように消化されて乳や肉に使われていくのかを、動物を使った生物的な実験と飼料や糞、尿などを対象にした成分分析を組み合わせて研究を行っている。 私達の目標は、害虫の防除、有用昆虫の利用、昆虫群集の保全のための知識をおもに生態学・行動学・進化学的に深めることである。テーマとして基礎から応用研究まで幅広く扱っているが、どちらかといえば、基礎研究が中心である。 現在研究している主要な昆虫は、ハナバチ、ハナアブほかの作物の花粉媒介者、カメムシ類(侵入昆虫として、ただの虫として)である。 日本のバイオームはおもに温帯林であり、その生態系は樹木によって成り立つ。天然生林の群落を長い年月くり返し調査し、さらに、個々の樹木の生育環境を調べることで、森林生態系における生物多様性などが維持されるしくみを解明する。また、ブナやトウヒなどの群落を代表する樹木や雌雄異株樹木を対象にして、生理生態学的な研究やDNA分析によって遺伝的多様性などを明らかにする発展的な研究も行う。学科・研究室の教員紹介については、教職員紹介パンフレットを参照してください(P.2にQRコードがあります)■■■■■■資源作物学動物生産学■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■森林微生物学 森林に生息する微生物、とりわけ植物の根に共生する真菌類(カビ・キノコ)や細菌類(バクテリア)、土壌中の線虫類の種類やその役割を明らかにし、森林生態系における生物多様性や物質循環の機構を探る。 そのため、天然林や人工林に出かけて生態学的な調査を行うとともに、実験室で微生物の有する形態、組織、遺伝子情報の解析を行う。植物医科学分子遺伝育種学園芸植物機能学草地・飼料生産学昆虫生態学森林保全生態学■■■■■

元のページ  ../index.html#6

このブックを見る