15ビッグデータで都市や交通を見える化 土木計画では、都市・地域、交通などの複眼的な視点から、現在の我が国を取り巻く課題である人口減少、自然災害、また環境リスクなどに対応した計画のあり方についての研究を行います。特に最近ではビッグデータや人工知能を応用できるようになったことで大きく進化している学問分野です。 自然災害・防災の分野では、室蘭市民650名が参加した大規模津波避難訓練において、住民100名に携帯型GPSを配布し、実際の避難行動を観測しました。また2018年9月に発災した北海道胆振東部地震では、災害時の行動や備えの現状を把握するために、災害時行動アンケートを市民5,000世帯に配布し、調査結果をデータベース化しました。 広域的な地域交通システムについても研究しています。例えば、北海道大樹町では実際に自動運転技術を活用した車両を運行させる実験を行いました。また他にも、交通シェアリングの可能性、例えば都心の自転車シェアリングをより効率的に運用する研究も行っています。 防災から交通システムや都市計画まで、非常に広い領域にわたって「持続可能な都市と交通がどうあるべきか」を研究しています。 研究活動は、社会とコミュニケーションを図りながら、実践を続けることが大事です。研究成果を社会に還元する「開かれた学問」でありたいと思っています。 創造工学科 建築土木工学コース有村幹治 准教授 人の役に立つロボットをつくる ロボットは常に「人の役に立つ」ことを期待されています。現在開発中のものに「自律四輪バギー車」があります。これは市販のバギー車に私たちが開発した自律運転機能(速度制御、ハンドル制御)を搭載したもので、荒地やガスが発生している場所など、人が立ち入れない場所に、自律制御で走っていって調査や作業をするロボットです。他にも、湿原などの通常の車両が入れない場所でも動ける特殊な車輪のロボットも研究しています。 常にベースにあるのは「世の中の役に立つものを作りたい」という想いです。これらのロボットも「荒地の環境調査で活躍するロボットが欲しい」という大学の先生からの声を受けて開発しました。自分たちが開発したものが人の役に立つことが何よりの喜びです。 今後は、農業支援ロボットや、高齢者の健康を支援するロボット(運動支援ロボット)などにも挑戦していきたいと思っています。 大学の研究室は限られたリソースで、教員と学生と力を合わせて開発していきます。試行錯誤をしながら進んでいくのは大変ですが、研究を通して学生が成長する姿をみるのは、私自身の楽しみでもあります。今後も北海道という広大なフィールドでのびのびと研究開発をしていきたいと思います。創造工学科機械ロボット工学コース・機械系コース花島直彦 教授 創造工学科の研究
元のページ ../index.html#16