24 光などの刺激を与えた時、それに応答して光ったり、色や形が変わったりするような機能を持った有機物を研究しています。例えば、光に反応して分子の形が変わる「フォトクロミック材料」は、光を当てるだけで分子レベルで動きます。まだまだ目に見えない分子レベルの動きですが、この分子を集めて大きな塊にすることで、目で見えるぐらいの大きさのものを動かせるようになります。 もう一つは光る材料。何か刺激を与えると色が変わるとか、発光するなど、そういう光に反応する材料で面白いことができないかを研究しています。 将来的には有機物の光への反応だけでモーターを回したり、光さえ当たれば自動車が走ったり、飛行機が飛ぶなどそういうことができたらいいなと夢を膨らませています。システム理化学科 化学生物システムコース中野英之 教授 私の「システムデザイン論研究室」では、専門の情報学をもとに 「システム」づくりを研究しています。システムには、電気製品やロボットなど目に見えるもの以外に、例えば新しい技術が出てきたときにどんな仕組みがあれば世の中にスムーズに入っていくのかという目に見えない「システム」もあります。例えば、技術が人間の社会にどのような影響を与えるのかを考えることも、技術者や研究者の責任で、それをわかりやすく可視化することも一つの役割だと思っています。システム理化学科 数理情報システムコース須藤秀紹 教授 災害時に切れない通信やネットワークの研究に力を注いでいます。東日本大震災の時、私は海外に留学していましたが、親が被害の大きかった宮城県・南三陸町に住んでいました。私は、親に電話しても繋がらず、安否も分からないという不安な日々を過ごしました。結果的に電話が繋がったのは3日後でした。その経験から、災害時でも切れないネットワークや電話を開発しようと思いました。 災害などで携帯電話基地局がダメージを受けた際、スマホなどの端末同士で情報をやり取りできるD2D(Device to Device)通信の基礎技術を開発しています。さらにこの技術を発展させて、ドローンなどを活用して、広域で災害時の通信手段を確保できる新手法の開発に着手しており、既に実機を使ったテストに入っています。 今後、企業や他の研究機関などと連携しての実用化を目指しています。実用化されれば、災害の発生時に避難ルートを探したり、安否を伝えるなどの活用が期待できます。システム理化学科 数理情報システムコース董冕雄 教授光を当てるだけで動く!?災害時にも切れないネットワークをつくる結びの科学 ーコミュニケーションのしかけづくりー
元のページ ../index.html#25