30磁石にくっつく液体を光通信の次世代材料へ ー磁性イオン液体の光デバイス応用ー イオンから作られる「イオン液体」と、磁石や電子機器に使われる材料を組み合わせて「磁性イオン液体」を合成し「磁気光学効果(磁場をかけた物質の透過光や反射光の偏光状態が変化する現象)」について調べています。 光デバイスは、今まで固体の材料しかなく、液体についてはよくわかっていませんが、液体だと形を自由に決めたりできるなど固体にない利点があります。そこで、液体の磁気光学デバイスを研究し、性能を調べています。実現すれば光通信の性能が格段に上がります。 大学4年生の1年間では物足りず、大学院で研究を続けています。大学院は研究に打ち込むことができ、学部の頃は「テストのため」だった勉強も、自分の研究に役に立つんだという実感を得ました。これからも、今までの常識を破るような新材料を追求したいです。情報電子工学系専攻 電子デバイス計測コース強相関電子物性研究室星野愛さん多層構造化した次世代ロボットの指の開発 ー多層構造指を用いたロボットによる高度な把持/操作ー 社会で活躍が期待される次世代ロボットには、人のように多様な物体を把持し器用に操作する能力が求められます。ロボットの指に、人間の指のような外側に柔らかい層(筋肉、皮膚)、内側に硬い層(骨)をつくり、高度なセンシング機能で制御することによって、硬いものから豆腐のような柔らかいものまで多様な物を掴めるようになります。 実験ではすでに、豆腐や複雑な形状の物も簡単につかめることを確認しました。これにより、繊細な食品を扱う現場(食品加工、農業、漁業)で働くロボットや、飲食店の調理ロボット等への応用が期待されます。 室工大には、同じ興味や専門分野を持つ仲間とともに、切磋琢磨しながら研究をして、自分のスキルを高められる環境があります。生産システム工学系専攻 ロボティクスコースシステム制御工学研究室長岡拓弥さん環境創生工学系専攻 物質化学コース先端光分子システム研究室打田 敦也さん 近年、地球温暖化などの影響で様々なクリーンエネルギーへの需要が高まっています。クリーンエネルギーのひとつに温度差だけで発電することができる「熱電発電」があり、より多くの発電をするための「熱電変換材料」を開発しています。 実は、熱電変換材料はすでに小型の冷蔵庫や腕時計など身近なところで使用されていますが、熱電発電を使えば停電時でも温度差のみで稼働できます。生活を支えるクリーンな次世代のエネルギーとして、災害や停電時に役立つ発電をするために研究に打ち込んでいます。 大学院では研究活動を通して、社会に出てから必要な計画・実行・評価・改善ができる力を身につけることもできます。温度差だけで発電!ー電変換材料の開発ー
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