室蘭工業大学 2021
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5 かつての伝統的な民家には、長い歴史を通じて人々が培ってきた生活の知恵がたくさん詰まっており、各地域によって様々な住居が生み出されてきました。そこでは各地域ごとの風土に応じて、暑さ寒さへの工夫、生活様式、人々のコミュニティ、住居形態・形式、街の景観など、さまざまな物事が豊かに有機的に関係しあっていました。 しかし、現代では住宅の高機能化などによって、あらゆる物事が分断してしまっています。そんな現代で人・家族・街・都市・技術などが豊かな関係性を創り出す「各地域性を踏まえたモデル」となり得る住宅や建築のデザインを研究しています。つまり、ここ北海道における「現代の民家」を創り出すことを目標としています。 大学とは、単に技術を学ぶだけの場ではありません。料理人が良い料理を作るために「舌」を鍛えるように、ものを見る目を養い、感性を磨き、思考する力を鍛えることがとても重要です。私たちは教室や研究室だけでなく、地域の工務店と協力して、実際のプロジェクト現場で設計・研究をするなど、研究成果を地域に還元していくことも大切にします。 室工大には他大学にはない「学生と教員の親密で濃密な距離感」があります。 室工大で過ごす「濃密な時間」は人生のかけがえのない経験になるでしょう。 認知症は脳内にアミロイドと呼ばれるタンパク質が凝集・蓄積することが原因のため、その凝集を抑制する物質が予防や治療に有効です。体内ではタンパク質が自己集合し、生き物が生きる上で必須の様々な機能が生み出されていますが、変性したタンパク質の自己集合は、認知症やリウマチ、糖尿病をはじめ様々な病気の原因にもなります。タンパク質の「正常・異常」な自己集合は紙一重の違いです。これらを比較することで、認知症等の原因を解明し、予防や治療に繋げていくことができます。 タンパク質は非常に小さな物質で、光学顕微鏡では観察できません。そこで、量子ドットと呼ばれるナノメートルサイズの蛍光物質を結合させて顕微鏡で観察できるようにし、タンパク質の一種「アミロイドβ」の凝集を世界で初めて四次元観察(三次元画像の時間観察)することに成功しました。さらにこの方法を応用して、認知症の元となるアミロイドβの凝集を抑制する物質を効率的に見つけるシステムを開発しました。実際に、このシステムを用いて様々な天然物を調べたところ、シソ科植物が高い凝集抑制活性を持つことが分かりました。今後は、北海道の農業食品分野とも協力して、最大限の凝集抑制効果を発揮するために適した栽培方法、収穫時期、加工方法を研究し、将来的には認知症予防効果の高い食材やメニューの開発などにもつなげていきたいと考えています。北海道の天然資源で認知症予防北海道における「現代の民家」をデザインする創造工学科 建築土木工学コース山田深 准教授システム理化学科 化学生物システムコース徳樂清孝 准教授室工大の研究活動創造的な科学技術で夢をかたちに

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