6世界を驚かせる未知の合金をつくる 超音波を利用して極限状態の中でも火を自在にコントロールする研究をしています。 人の耳で聞こえる音よりも周波数の高い「超音波」を火に向けると火が曲がるなど、思い通りに火を変化させられることがわかりました。この方法を用いて、少ない燃料で動くエンジンの開発や、新たな火の消火抑制方法などの研究を行っています。 昨今、航空機やロケットなどのエンジンにも「省エネ」が求められており、超音波の力で火を操ることで、少ない燃料で無駄なく燃料を燃やすことができれば、現在の半分ほどの燃料でエンジンを運転することも可能になります。 また、宇宙空間や病院の手術室などの医療現場、原子力発電所などの消火に水を使うことができない環境では、火災が起きてもすぐに消火できません。そのような環境でも事前に蓄電した装置から超音波を発生させて、「音の力」で火を抑え込むことができれば、大規模火災を未然に防ぐことができるようになります。 航空宇宙関連の研究は、どの分野も人々の生活を改善する最先端技術に直結しています。あなたのアイデアが世界を変える可能性を秘めているのです。システム理化学科 物理物質システムコース雨海有佑 准教授 世界的にも殆ど研究例がない「強相関アモルファス合金」の物質開発をしています。アモルファス合金とは金属でありながら、元素の配列に規則性がなく無秩序に結合している金属です。そのため、結晶化合物として存在しない原子の組み合わせで合金を作ることが出来ます。つまり、まだこの世に存在しない未知の合金を合成することができます。未知なことが多いアモルファス合金には、思いもよらない特性を示す合金を発見する可能性に満ちています。現在は「DC高速スパッタリング法」という方法で希土類元素のひとつであるセリウム(Ce)を中心とした希土類アモルファス合金を作製しています。 アモルファス合金は自然に存在せず、セリウムを含むアモルファス合金については殆ど知られていないので、その性質もよくわかっていません。 これまで数多くのCe系アモルファス合金を作製し、金属でありながらプラスティックにも匹敵する熱膨張を示すもの、超伝導や重い電子状態を実現するものなどを発見しました。Ce系アモルファス合金の研究は殆ど前例がないので新発見に溢れています。世界が驚く未知の合金をつくり、室蘭工大から世界に向けて発信していきます。超音波で炎を自在にあやつる創造工学科 航空宇宙工学コース廣田光智 准教授
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