室蘭工業大学 大学案内2022
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20システム理化学科 物理物質システムコース 中里直史 助教光などの刺激を与えた時、それに応答して光ったり、色や形が変わったりするような機能を持った有機物を研究しています。例えば、光に反応して分子の形が変わる「フォトクロミック材料」は、光を当てるだけで、分子レベルで動きます。まだまだ目に見えない分子レベルの動きですが、この分子を集めて大きな塊にすることで、目で見えるぐらいの大きさのものを動かせるようになります。もう一つは光る材料です。何か刺激を与えると色が変わるとか、発光するなど、そういう光に反応する材料で面白いことができないかを研究しています。将来的には有機物の光への反応だけでモーターを回したり、光さえ当たれば自動車が走ったり、飛行機が飛ぶなどそういうことができたらいいなと夢を膨らませています。システム理化学科 化学生物システムコース 中野英之 教授「超伝導」とは電気抵抗が完全にゼロになる現象で、エネルギーロスなく電気を送るなど、究極の省エネルギーを可能にします。現在でも、鉄道のリニア新幹線や病院の MRI 診断装置などに応用されていますが、将来的には再生可能エネルギーと組み合わせた無損失送電などへの応用が期待されています。 私はこの超伝導をより広い温度で(より高い温度から)使えるような新しい超伝導物質を研究しています。どんな物質にも必ずある「電気抵抗」が、超伝導では完全に無くなります。こうした不思議な現象を好奇心のままに追求し、新事実を発見した時のワクワクドキドキが好きで学生の頃から研究を続けています。今後、新しい超伝導体の発見で、私たちの社会の省エネ化が大きく進んで、環境問題やエネルギー問題の解決に少しでも貢献できたらいいなと思っています。システム理化学科 物理物質システムコース 桃野直樹 教授「システムデザイン論研究室」では、専門の情報学をもとに「システムづくり」を研究しています。システムには、電気製品やロボットなど目に見えるもの以外に、例えば新しい技術が出てきた時、どんな仕組みがあれば世の中にスムーズに入っていくのかという目に見えない「システム」もあります。例えば、技術が人間の社会にどのような影響を与えるのかを考えることも、技術者や研究者の責任で、それをわかりやすく可視化することも一つの役割だと思っています。システム理化学科 数理情報システムコース 須藤秀紹 教授結びの科学 -コミュニケーションのしかけづくり-車、飛行機、パソコンなど、すべての製品をつくるためには「材料」が必要不可欠です。私はものづくりの基盤となる「材料」の改良、新材料の作り方、評価方法を研究しています。材料には金属、セラミックス、プラスチックなどがありますが、セラミックスは熱に強くて腐食されにくく、軽いなど多くの利点がある一方、割れやすいという弱点があります。これを解決するためにセラミックス単体にセラミックス繊維を複合化して、割れにくい「タフな」セラミックス「SiC(炭化ケイ素)繊維強化のSiC複合材料」を構造材料(構造物となる材料)として実用化するための研究をしています。SiC複合材料はロケットエンジン噴出口や、航空機のジェットエンジン内部にも活用できます。これは航空宇宙分野だけでなく、核融合や地熱発電等の新エネルギーなどの高温環境や放射線のある環境、腐食されやすい環境などの過酷な環境下でも使うことができる可能性のある材料です。室工大は他大学に負けない「材料」の研究に関する製造設備や評価装置があり、製造から評価までを一貫して研究できる恵まれた環境です。現状の材料では実現できないような、新エネルギーシステムや、効率のいい航空機に使われるような「タフなセラミックス」を研究して実用化し、世界をより良くしたいという想いで研究に励んでいます。諦めない強さと、大きな夢、熱い想いを持った学生と一緒に研究して社会に貢献していきたいです。 光を当てるだけで動く !?過酷な環境に耐える「タフ」なセラミックス好奇心を大切に「超電導」を追求

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