室蘭工業大学 大学案内2022
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5北海道を「世界水準の価値創造空間」にするために北海道をメトロポリスと基礎生活圏域からなる新しい自律分散型地域構造とする目 標1■ 研究開発型中小企業の競争力強化を図る現在、北海道企業の99.8%が中小企業です。付加価値の高い素材を生産するためには、弛まない技術開発への投資と技術力向上が必要です。中小企業のネットワーク化を図り、大学のような研究開発機関を核としたグループを形成し、中小企業を研究開発型にしていきましょう。■ 北海道の優位性を発揮できるフロー系素材の利用化石燃料系を原料とした、プラスチックに代表される現在の石油化学は人間生活に欠かすことのできない素材を生み出しています。しかし、化石燃料の枯渇・エネルギー構造の転換とともに、バイオマスなどのフロ ー系素材を原料とした、カ ーボンナノファイバーをはじめとする機能性素材の製造が主流となります。フロ ー系素材を多く生産する、北海道こそがその重要な生産基地とならねばなりません。北海道を付加価値の高い素材の世界への供給基地とする目 標2■ 病気を生み出しにくい食生活を常識にする我が国の農業・食品産業は、戦後の十分な栄養源を確保するための大量生産に始まり、人体に有害な物質を極力含まない安全安心な食品の生産、そして、より美味しい食品の生産、さらにはより高機能な成分を含む食品の生産へと変遷してきました。■ 食品に含まれる機能性成分とそれらの複合的作用の情報を食品とともに供給する北海道は、全国の農地面積の1/4を占め、我が国最大の食料供給基地です。もし、北海道で生産される食品に含まれるビタミンや機能性成分、また、それら が複合的に作用して生み出される機能を、迅速、正確に評価し、食品と共にその情報を消費者に提供できれば、食品はより付加価値の高いものとなります。そのためには、革新的なセンシング技術が必要です。北海道を高品質・高機能食素材の世界への供給基地とする目 標3国立社会保障・人口問題研究所による北海道の将来人口推計によると、2015年国勢調査では約538万人であった道内人口は、2040年には約419万人、2060年には約308万人まで減少するとされています。■メトロポリス:北海道のハブ札幌〜苫小牧周辺の道央圏をメトロポリスと呼びましょう。ここは、世界を結ぶ空路や北極圏航路等の海外との交易機能+企業の本店機能+プロスポーツや劇場などの文化活動機能を持ち、道内の基礎生活圏達と高速ネットワークで接続された、北海道のハブです。■ 基礎生活圏:北海道の農林水産業を支える場所地域拠点となる基礎生活圏域を再構築しましょう。災害に強く、教育や高度な子育て、高齢者の生活環境、医療、文化活動を支える生活拠点空間とそれを囲む生産空間から構成されます。ここでは、自然再生エネルギー、水・食料、経済が循環し、生活の質が高く維持されます。生産空間は、農林水産業の生産現場だけではなく、美しい自然や景観が保全され、世界中の多くの人々を魅了する価値ある空間です。そして、自然再生エネルギーの地産地消が行われる脱炭素社会のテストフィ ールドとしての役割も持ちます。■ 生産空間:自動化の進んだ農林水産業農林水産業の自動化とそれに応じた働き方が文化レベルで普及し、より品質が高い農林水産物の生産や加工が行なわれます。■ 道央圏メトロポリスと基礎生活圏域、そして世界へのネットワーク自動運転車両や空飛ぶ車といった交通手段、都市間を高速で結ぶ公共交通など、多数の交通手段を柔軟に組み合わせた、人間の生活パターンに応じた多様な移動のサー ビス化が進みます。また、農林水産業を支えるネットワークも必要です。鮮度を保ったまま、海外市場に直接輸送できる物流インフラがその例です。道路や港湾施設といった物流インフラには、モノを単純に移動させるための機能だけではなく、何がどこに流れているのか、その状態はどのようになっているのかまで可視化、制御できる機能も付与されます。

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