室蘭工業大学 大学案内2023
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生産システム工学系専攻 ロボティクスコース 竹田駿介さん皮膚に当たって跳ね返ってきた反射光には様々な情報が含まれています。その情報を解析することで肌の状態や酸素代謝、血流の状態を調べることが可能です。こうした情報を読み取るための計測、解析方法の研究を行っています。具体的には光技術や画像技術、シミュレーション技術を用いて触らずに生体皮膚の計測ができるような手法を開発し、インターネット環境を利用してどこでも計測が行えるようなシステムの構築を目的としています。これまでヒト皮膚の特性に似たシリコンモデルや皮膚内での光の動きを再現した数値シミュレーション技術の開発、これらを用いた皮膚の光特性データベースの作成を行ってきました。この研究を進めることで、「自宅で肌の画像を撮影してインターネットで送信して医療機関で診断を行う」といったオンライン診察が可能になり、医師不足や高齢化が進む社会では非常に重要な研究と考えています。研究は「どうすれば結果が得られるか」を考える計画性や「結果から読み取れることは何か」を考える考察する力が必要です。室工大には親切な教授が多く,疑問点を一緒に考えてくれ、こうした力を養うことができる環境です。情報電子工学系専攻 電気通信システムコース 馬場悠衣さんカミナリのような「放電」が大気中で発生すると,空気や水分から「殺菌作用」を持つ化学物質が生成されます。これを防カビや防腐剤に応用することを目指し,私はこれらの化学物質がどのように作られ、どうすればその量を増やすことが出来るのかを実験を重ねて調べています。例えば、収穫した農作物に輸送・貯蔵過程でカビが発生してしまい廃棄されるケースへの応用です。カビ発生を防ぐために海外では収穫後の農作物への農薬散布が行われていますが、日本ではこれが禁止されています。そのため、空気や水分といった安全な物質から殺菌作用をもつ化学物質を生成し、これを用いることで収穫後の農作物を殺菌する「プラズマ防カビ(殺菌)方法」を開発することを目指しています。2020年度には生成される化学物質の量を測定し、これらが多く作られる条件を発見して学会で発表しました。次は、作られる物質の種類と量を分離しての測定に挑戦しています。今後,たくさんの化学物質を作る条件を見出したら、実際に防カビ実験へ研究を進めて実用化の可能性を探りたいです。研究では専門分野を問わず様々な知識を必要とし、成果が見えない時にはつらいときもあります。しかし、問題解決に向けて一緒に考えてくれる先生、助言してくれる仲間がいるので前に進むことができます。そして、研究がうまくいったときはそれまでの困難を吹き飛ばしてくれる達成感が得られます。この瞬間の人口分布がわかる !-新型コロナウイルス感染症禍における人口分布統計を用いた行動変容の把握-環境創生工学系専攻  公共システム工学コース 石川玲衣さん2020年、急速に拡大した新型コロナウイルス感染症により、日本では感染予防と経済対策の両立を目指して「GoToキャンペーン」などの様々な対策が行われ、これらは人々の移動に様々な変化をもたらしました。私の研究では、携帯電話の位置情報を用いて「人がいつ、どこに、どれくらいいるのか」を調査して分析しています。あるエリアに滞在している人口を、いろいろな側面から分析することで、例えば、北海道のあるエリアで道外居住者の人口が多くなった場合には「道外からの観光客が平常時と比べ、どのくらい増えているか」などがわかります。「人口」という観点から、昨今の人口動態を把握して取りまとめることができます。この研究から「緊急事態宣言」の期間や、「GoToキャンペーン」の期間の人口動態を把握でき、「新しい生活様式」における、人々の移動を定量的に評価できるようになります。今後も多くの人に有益な情報を提供できるよう、研究結果を発信していきたいです。光で病気を発見 ! -様々な光を使った生体皮膚計測-カミナリを科学し、農業・食品などの分野へ放電を応用する道を拓く22

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