室蘭工業大学 大学案内2023
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かつての伝統的な民家には、長い歴史を通じて人々が培ってきた生活の知恵がたくさん詰まっており、各地域によって様々な住居が生み出されてきました。そこでは各地域ごとの風土に応じて、暑さ寒さへの工夫、生活様式、人々のコミュニティ、住居形態・形式、街の景観など、さまざまな物事が豊かに有機的に関係しあっていました。しかし、現代では住宅の高機能化などによって、あらゆる物事が分断してしまっています。そんな現代で人・家族・街・都市・技術などが豊かな関係性を創り出す■各地域性を踏まえたモデル■となり得る住宅や建築のデザインを研究しています。つまり、ここ北海道における■現代の民家■を創り出すことを目標としています。大学とは、単に技術を学ぶだけの場ではありません。料理人が良い料理を作るために■舌■を鍛えるように、ものを見る目を養い、感性を磨き、思考する力を鍛えることがとても重要です。私たちは教室や研究室だけでなく、地域の工務店と協力して、実際のプロジェクト現場で設計・研究をするなど、研究成果を地域に還元していくことも大切にします。室工大には他大学にはない■学生と教員の親密で濃密な距離感■があります。室工大で過ごす■濃密な時間■は人生のかけがえのない経験になるでしょう。ロボットは常に■人の役に立つ■ことを期待されています。現在開発中のものに■自律四輪バギー車■があります。これは市販のバギー車に私たちが開発した自律運転機能(速度制御、ハンドル制御)を搭載したもので、荒地やガスが発生している場所など、人が立ち入れない場所に、自律制御で走っていって調査や作業をするロボットです。他にも、湿原などの通常の車両が入れない場所でも動ける特殊な車輪のロボットも研究しています。常にベースにあるのは■世の中の役に立つものを作りたい■という想いです。これらのロボットも■荒地の環境調査で活躍するロボットが欲しい■という大学の先生からの声を受けて開発しました。自分たちが開発したものが人の役に立つことが何よりの喜びです。今後は、農業支援ロボットや、高齢者の健康を支援するロボット(運動支援ロボット)などにも挑戦していきたいと思っています。大学の研究室は限られたリソースで、教員と学生と力を合わせて開発していきます。試行錯誤をしながら進んでいくのは大変ですが、研究を通して学生が成長する姿をみるのは、私自身の楽しみでもあります。今後も北海道という広大なフィールドでのびのびと研究開発をしていきたいと思います。土木計画では、都市・地域、交通など複眼的な視点から、現在の我が国を取り巻く課題である人口減少、自然災害、また環境リスクなどに対応した計画のあり方についての研究を行います。特に最近ではビッグデータや人工知能を応用できるようになったことで大きく進化している学問分野です。自然災害・防災の分野では、室蘭市民650名が参加した大規模津波避難訓練において、住民100名に携帯型GPSを配布し、実際の避難行動を観測しました。また2018年9月に発災した北海道胆振東部地震では、災害時の行動や備えの現状を把握するために、災害時行動アンケートを市民5,000世帯に配布し、調査結果をデータベース化しました。広域的な地域交通システムについても研究しています。例えば、北海道大樹町では実際に自動運転技術を活用した車両を運行させる実験を行いました。また他にも、交通シェアリングの可能性、例えば都心の自転車シェアリングをより効率的に運用する研究も行っています。防災から交通システムや都市計画まで、非常に広い領域にわたって■持続可能な都市と交通がどうあるべきか■を研究しています。研究活動は、社会とコミュニケーションを図りながら、実践を続けることが大事です。研究成果を社会に還元する■開かれた学問■でありたいと思っています。 ロボットなど、自分の動かしたいものを自由に操る制御理論を研究しています。ロボットなどを制御するのは難しいですが、実は身近にある■物理現象■をうまく利用することで、簡単に制御できるようになります。これまでの制御理論は、制御対象に無理矢理に力を入れて動かすことが一般的でした。私が目指しているのは物理現象や制御対象が元々持っている性質(振動のしやすさ、動きやすさ)を活用した制御理論です。活用している物理現象の一つが■周波数引き込み現象■です。■周波数引き込み現象■は、2つの振子時計を壁にかけておくと、始めはバラバラに振動していても、いつの間にか振れ方がぴったりと同期してしまうという現象です。例えば、ロボットの動きと■バネ■の振動を、この■引き込み現象■を活用して同調させることで、ロボットを効率よく動かすことができるようになります。 将来的には、アリの群れのように複数のロボットが互いの距離を保ちながら一緒に動き、仕事をするなどにも応用できると考えています。一台では小さな力であっても、沢山のロボットを協調させて動かすと、大きな仕事も可能になります。是非とも私たち教員の経験や知識と、学生さんの新しい柔軟な考えや知識を組み合わせて、ロボットを開発していきたいです。画像:自律走行四輪バギー車画像: 足歩行ロボットの制御画像:サイクルシェアリングの導入空間の検討北海道における■現代の民家■をデザインする創造工学科 建築土木工学コース 山田深 准教授人の役に立つロボットをつくる創造工学科 機械ロボット工学コース ・ 夜間主コース 機械系コース花島直彦 教授  ビッグデータで都市や交通を見える化創造工学科 建築土木工学コース 有村幹治 教授  物理現象を活用してロボットを制御する創造工学科 電気電子工学コース ・ 夜間主コース 電気系コース梶原秀一 准教授建築土木工学コース機械ロボット工学コース7創造工学科の研究

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