室蘭工業大学 大学案内 2024
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6住宅の高機能化などであらゆる物事が分断している現代で、人・家族・街・都市・技術などの豊かな関係性の要、各地域性を踏まえたモデルとなり得る住宅や建築のデザイン研究を行い、ここ北海道における「現代の民家」創りを目標としています。大学は技術を学ぶだけの場ではありません。見る目を養い、感性を磨き、思考力を鍛えることがとても重要です。教室だけでなく、地域の工務店と協力し現場で実践研究を行うなど、成果の地域還元も大切にしています。室工大には他大学にない「学生と教員の親密で濃密な距離感」があります。室工大で過ごす濃密な時間は、人生のかけがえのない経験になるでしょう。常にベースにあるのは「世の中の役に立つものを作りたい」という想いで、人の役に立つことが何よりの喜びです。今後は、農業支援ロボットや高齢者の運動支援ロボットなどにも挑戦していきたいと思っています。大学の研究室は限られたリソースで、教員と学生と力を合わせて開発していきます。試行錯誤は大変ですが、学生が成長する姿をみるのは私自身の楽しみでもあります。今後も北海道という広大なフィールドでのびのびと研究開発をしていきたいと思います。防災分野の研究の例では、室蘭市民650名参加の大規模津波避難訓練の際に携帯型GPSを100名に配布し避難行動の観測を行い、2018年の北海道胆振東部地震では5,000世帯に災害時の行動や備えアンケートを配布して結果をデータベース化しました。また交通分野では、北海道大樹町で自動運転技術活用車両を運行する広域的地域交通システムの実験を実施し、都心の自転車シェアリングをより効率的に運用する研究も行っています。広い領域の「持続可能な都市と交通がどうあるべきか」を研究しています。例えば、バラバラに振れていたふたつの振子時計が、いつの間にかぴったり同期している「周波数引き込み現象」があります。これを活用してロボットの動きとバネの振動を同調させ、ロボットを効率よく動かすことができるようになります。将来的には、アリの群れのように複数のロボットが距離を保ちながら一緒に動き、たくさんの小さい力の協調で大きな仕事をするシステムなどに応用できると考えます。私たちも、教員の経験や知識と学生さんのせてロボットを開新しい柔軟な考えや知識を組み合わせてロボットを開発していきたいです。実践を続け、社会とコミュニケーションを図りながら実践を続け、でありた成果を社会に還元する「開かれた学問」でありたいと思います。画像:サイクルシェアリングの導入空間の検討画像:自律走行四輪バギー車車画像: 4足歩行ロボットの制御画像関係性の要「現代の民家」を求めて創造工学科 建築土木工学コース 山田 深 准教授伝統的な民家には、人々が培ってきた生活の知恵が詰まっていました。各地域の風土に応じて様々な住居が生み出され、生活様式、コミュニティ、街の景観などが有機的に豊かに関係しあっていました。世の中の役に立つロボットをつくる喜び創造工学科 機械ロボット工学コース ・ 夜間主コース 機械系コース花島 直彦 教授  開発中の自律走行四輪バギー車は、市販バギー車に私たちが速度・ハンドル自動制御機能を搭載した、荒地やガスが発生する場所で作業可能なロボットです。「荒地の環境調査に」という大学の先生の声を受け、湿原で行動できる特殊車輪ロボットも研究中です。社会調査と実践を軸に防災や都市計画を探る創造工学科 建築土木工学コース 有村 幹治 教授土木計画では地域、交通など複眼的な視点から、人口減、災害、環境などに対応した計画のあり方を研究します。最近はビッグデータや人工知能の応用で進化している学問分野です。建築土木工学コースCourse of Architecture and Civil Engineering機械ロボット工学コースCourse of Robotics and Mechanical Engineering元々持つ性質を生かした制御設計を目指す創造工学科 電気電子工学コース ・ 夜間主コース 電気系コース梶原 秀一 准教授ロボットなど自分の動かしたいものを自由に操る制御理論を研究しています。これまでの制御理論は対象に無理やり力を入れ動かすことが一般的ですが、対象が元々持つ振動のしやすさなどの性質や、身近な物理現象を利用した制御理論の活用を目指しています。

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