長岡技術科学大学 統合報告書 2022
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10こうした企業の新しく創造的な取組を、若い世代へ届けたいと思っています。■ 武田:メタバースの活用とは非常にユニークですね。IT技術を活用すれば、遠隔で協力し合うことができる時代です。新潟発の起業家が増えるかもしれません。それでは吉田理事、地域の産業に貢献できる人材にはどのような資質が必要でしょうか?■ 吉田:好奇心旺盛で、新しいことを創造するバイタリティを持ち合わせてほしいです。また、研究やビジネスにおいても、一つのアイデアに多くの人たちが賛同し、切磋琢磨するコミュニケーション力も大切です。自ら興した活動を新潟県から発信し続けると、国内外から多くの人が注目し、新しい価値観が集まり、研究領域が開けていくでしょう。そうした意味でも、若い世代を育てることは非常に大切です。弊社でも常に雇用を大切にし、人材の育成に尽力してきました。大学だけでなく、企業、地域が一丸となって、若い力を育み、挑戦できる環境を創っていかなければなりません。■ 鎌土:たしかに、人材育成は大学だけが行うことではありませんね。今では、国の支援もたくさんあります。初代学長・川上正光氏が「世界最先端に取り組むのが大学。できないのは、大学教員の怠慢である」とよく仰っていましたが、まさに、その通りです。育てる立場にある私も今、改めて言葉の重みを感じています。■ 武田:髙見副学長にお伺いします。今後は、地域、大学、企業の産学官の連携が重要となります。大学や学生がプロジェクトなどに携わり、地方創生の担い手になることが期待されています。自治体では、どういった素養をもった人材が必要だとお考えですか?■ 髙見:人口減少が進む地方都市においては、イノベーションを起こし、魅力的な産業を興す気概を持ち合わせた人材が求められています。技大生はSTEM能力が非常に高いので、これからいわゆるAの分野、もっと「楽しさ」「面白さ」「人間らしさ」といったリベラルアーツの部分も追求し、「技術や科学が人のためにある」、という点に価値を見出してほしいと思います。そのためには、ぜひ時々、まちに繰り出し、長岡造形大学生やまちの人と交流してほしいと思います。人材という意味では学生だけではなく、教員の方々も地域にとって非常に大きな財産です。先ほど吉田理事もおっしゃられたように新潟県の起業が少ないですが、学生には、やりがいをもてる仕事が必要で、そのためには技大の先生方にも、共同研究をさらに推進したり、研究の社会実装を行うことなどを通して大学発のビジネスを広げていただき、学生も長岡、新潟に残って一緒に取組が広がっていくことに期待しています。■ 武田:アクションプラン2で明示しているように、本学では、Society5.0を支えるものづくり+情報技術の研究分野を中心に、地域産業の高度化や新産業の創出を目指しています。それでは、本学の研究・技術開発について、学長より説明いただきます。■ 鎌土:実践的な研究は、本学の一番の強みです。今後さらに発展させていくためには、様々な分野との共同研究やバックキャストによる研究開発を推進していかなければなりません。また、ものづくりや環境エネルギーの分野など、地域の特色を活かした産業の活性化や、地方である利点を活かし、包括連携協定の締結などを通じて、地域研究開発力の高度化につなげていきたいと思います。そうした営みが地域の魅力づくりにも貢献していくことになるでしょう。■ 武田:学長のご指摘の通り、研究の高度化は本学の使命のひとつです。技術科学とは単なる工学ではなく、社会実装を念頭においた技術開発が、本学では非常に重視されています。そこで吉田理事に伺います。研究成果の社会実装やイノベーションの創出などにおいて、大学と協働していく上で産業界ではどのようなよしだ やすし理事(経営戦略・社会貢献担当)株式会社ブルボン代表取締役社長先進的研究を進め、技術開発を推進吉田 康広島県出身。昭和54年名古屋大学農学部卒業。昭和54年北日本食品工業株式会社へ入社(現株式会社ブルボン)。平成4年常務取締役、平成8年代表取締役。令和4年4月より長岡技術科学大学の理事に就任。

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