長岡技術科学大学 統合報告書 2022
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11ことが意識されていますか?■ 吉田:ひとつの研究テーマに固執し過ぎないことです。研究テーマは新陳代謝が大切ですから、社会の状況を鑑み、初めのロジックに縛られず、柔軟に軌道修正をしていくことも重要です。テーマを深めることができれば、その研究を高めるために人は集まり、多様な価値観が生まれます。「社会に役立ちたい」という目的が明確になり、使命感も芽生えるでしょう。新しい研究が、新たな産業を生み出し、人々が集うようになる。ほかの地域に行かなくとも、「この場所には様々な領域の産業がある」というのは、地域にとっても強みとなります。■ 武田:研究開発を通じて、地域産業の可能性を広げ、若い世代のために将来の選択肢を増やしてあげたいですね。■ 鎌土:そういう意味では、多様性は重要ですね。グローバル化を進めるためにも、もっと留学生を受け入れていきたいと思います。アクションプラン4でも提示しているように、本学ではグローバル化を図るために世界の大学や産業界と強固なネットワークを確立しています。モンゴル、タイ、インド、メキシコ、スペインなど、世界の戦略的地域9カ国にある大学と連携し、実践的技術者育成のための教育プログラムを推進しています。■ 髙見:もっと海外との交流を増やし、新潟、長岡にいながら、地域だけでなく、世界の課題を解決するという視点を持つ必要があると思います。そうした取組が、新しいイノベーションを起こすきっかけとなり、地域産業の高度化につながっていくと思います。先日、高専やJICAの方々と一緒に市の職員がモンゴルへ行ってきました。目的は、モンゴルの学生を日本の企業にインターンさせるプログラムを確立させるためです。日本や地方都市が生き残るためには、もっと世界とつながる必要があります。市でも、国を越えて人的関係を構築できるよう、できるだけ多くの交流プログラムを構築していこうと思っており、大学を介して世界につながることにも大きく期待しています。■武田:海外との協働教育や研究を推進して得られた成果を産学官で連携し、社会実装していく。まさに、本学の目指す姿だといえます。■ 武田:今後、本学で創出した技術や研究開発したシーズを社会実装していくためには、企業や自治体との連携をより強固にしていかなければなりません。先ほど議論した「人材育成」「先進的研究・技術開発の推進」を実施することで、地域とつながり、社会に貢献していくのが本学の方針にあります。今後、本学は地域のために、どのような展開が必要なのか、学長のお考えをお聞かせください。■ 鎌土:地域創生も含め、社会へ貢献していくためには、まず本学におけるさらなる研究分野の拡大と高度化を図る必要があります。そのためには、全国にある高専とのネットワークを活用し、研究シーズや研究機器の共有を促進し、教育研究のネットワークを強固にしていく意向です。そのようにして培った高度な技学を地域社会からのニーズの高い研究開発分野で活かし、社会への貢献につなげていきたいと思います。研究の発展が、長岡市の魅力を創り、その特徴を全国に発信していくことで、人も集まり、地域のDX化が進みやすくなるでしょう。長岡からそういったモデルケースを発信していくことが重要です。国内外の高専、自治体、産業界、国内外の大学と、知的資源の共有や人材育成も進めたいと思っています。■ 武田:技学を魅力ある地域づくりに活かしていく…それが、地域における我々の役目ですね。それでは、最後に、本学に期待することを伺いたいと思います。まずは吉田理事、お願いいたします。■ 吉田:技大は、国内外で注目を集めているSDGsにいち早く取り組み、世界で唯一の「ゴール9ハブ大学」(P.36参照)として認定されています。世界的に評価されている大学が新潟県にあるという点も誇らしいです。産業界では技大を卒業した優秀な方々がその能力を活かして、様々な分野で指導的技術者として頑張ってくれています。これからも、人と人との連携を強め、あらゆる分野の融合を深めて、地域課題の解決をリードする大学であってもらいたいですね。たかみ しんじ副学長(地域協創担当)長岡市副市長持続的発展に向けた社会貢献を髙見 真二東京都出身。東京芸術大学美術学部卒業、平成元年同大学院美術研究科修了。平成元年建設省入省。平成25年内閣官房地域活性化統合事務局企画官。平成27年長岡市副市長。令和4年4月より長岡技術科学大学の副学長に就任。

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