長岡技術科学大学 統合報告書 2022
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13I OTOMATAHHSASAMメタンガスを作る微生物にとって最適な家を作る21.嫌気環境下で油を分解しメタン菌の餌となる水素と酢酸を作り出す微生物。/2.研究室で開発した循環型水再生装置により、水替え無しの水槽内で生育する錦鯉。/3.下水処理微生物を効率良く保持するスポンジ担体。スポンジ担体に保持した微生物が、空気中の酸素を利用して下水を浄化する。30 人間や動物は生きていくために食べ物を食べて、酸素を吸って二酸化炭素を吐き出します。目に見えない細菌などの微生物も同じです。しかし、微生物には酸素がない環境を好んで生息する微生物もいます。よく知られているヨーグルトのビフィズス菌などは酸素が嫌いな微生物です。このような酸素が嫌いな微生物の仲間でメタン生成古細菌(メタン菌)という微生物は、二酸化炭素を吸ってメタンを吐き出します。メタンは天然ガス(都市ガス)の主成分です。このメタン菌を上手く使うと有機性の廃水や廃棄物(下水や生ゴミ)からメタンガスを取り出すことができます。これは、バイオガスと呼ばれ再生可能エネルギーなので、最近ではこの仕組みをもっと広く利用しようとされています。この処理方法は嫌気性廃水処理法またはメタン発酵法と言います。 この嫌気性廃水処理法ではメタン生成の鍵となるいくつかの微生物(メタン菌やメタン菌の餌を作る細菌など)が重要で、この重要微生物をいかに効率よく処理槽の中に保持するかが、効率よくメタンガスを取り出すキーポイントです。私は、この重要微生物を効率的に保持する事ができる微生物の住み家(専門的には微生物担体と言い、この担体に重要微生物がバイオフィルムを形成し住み着く)を開発しました。この微生物担体を使うと、メタン菌やメタン菌の餌を作る細菌などを効率的に保持する事ができ、安定してバイオガスを取り出すことができる様になると期待しています。現在は、この担体の耐久性や住み着く微生物の種類をコントロールできる方法の開発を目指して研究を行っています。環境社会基盤系幡本 将史 准教授研究

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