長岡技術科学大学 統合報告書 2025
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データの海を航る羅針盤数学で築く研究活動実績 20図 1図 2スーパーマーケットの需要予測生成 AI を活用した個別最適化キャリア教育支援システム情報・経営システム系雲居 玄道 准教授 私たちの日常は選択の連続です。どの商品を買うか、どの仕事を選ぶか、どんな学びが自分に合っているか。こうした判断に「唯一の正解」はありません。私が主宰する機械学習理論研究室では、AIを「考えを押し付ける機械」ではなく、「一緒に考えてくれるパートナー」に変える研究を進めています。 真のデータドリブンな意思決定とは、単にデータを分析した結果を見るだけではありません。目的に応じて最適な数理モデルや可視化手法を選択し、データの本質を捉えることこそが重要です。その鍵となるのが、AIの判断根拠を数学的に証明し、誰もが理解できる言葉で説明する技術です。これにより、AIの提案を鵜呑みにするのではなく、人間が納得した上で最終判断ができる仕組みを作っています。 例えば、スーパーマーケットでは気象データと購買履歴を組み合わせ、「明日は気温が下がるから鍋の材料が売れる」「週末の晴天時には刺身の需要が増える」といった予測を実現し、食品ロスの削減と売上向上を両立させています。教育分野では、高校生向けに生成AIを活用した個別最適化キャリア教育支援システムを開発中です。生徒一人ひとりの興味・適性をAIが分析し、最適な進路情報を提案。データサイエンス教育と融合し、すべての生徒が自分らしい未来を描けるカリキュラムとソフトウェアを提供しています。 高校生たちがAIと対話しながら自分の未来を描く姿は、まさに次世代の意思決定の形を示しています。この先にあるのが、生成AIと人間が互いに学び合いながら成長する「共進化」です。AIは人間から創造性や価値観を学び、人間はAIから新たな視点を得る相互成長の関係を目指します。 本学から始まるこの挑戦が、人とAIが共に築く新しい意思決定の文化を生み出します。数学という普遍的な言語を架け橋に誰もが自分らしい選択ができ、その選択に自信を持てる社会を実現していきます。AIと人のパートナーシップ を創出するインパクト

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