長岡技術科学大学 統合報告書 2025
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でNagaoka University of Technology Integrated Report 2025 21Activity Results 02図 1図 3図 2経時的に色分けした蛍光アクチンフィラメントの束化過程のTIRF像位相差顕微鏡像により捉えたスピロプラズマ笑顔と探究心を胸に、世界を舞台に挑戦を続けるメンバーたちサイエンスも日々の交流も、「楽しむ」姿勢を原動力としています物質生物系藤原 郁子 准教授 私たちの健康や病気の進行には、細胞が形を変えたり移動したりするダイナミックな「動き」が深く関わっています。その原動力となるのが、わずか5ナノメートルの小さな生体分子で、アクチンと呼ばれるタンパク質です。アクチンはミオシンなど多くの仲間となるタンパク質と協力し、生命活動に欠かせない“動く力”を生み出しています。 私たちの研究グループでは、アクチンがつながって1本の紐状に伸びるしくみや、細胞中でアクチンが再利用されるための過程を全反射蛍光顕微鏡(TIRF)で直接観察しています。また、水晶振動子マイクロバランス(QCM)を使って細胞骨格にかかる張力や薬剤の影響を精密に測定しています。これらの研究は、実験動物を使わずにヒト細胞で薬の安全性を評価する新しい方法の確立に貢献しています。 さらに、細菌がもつ「細胞の骨」MreBの役割を明らかにすること、またその応用にも挑戦しています。特にスピロプラズマという柑橘類や上海ガニの体内に寄生する細菌は、ワインオープナーのような形で体をくねらせるというユニークな動きで移動します。その駆動源はMreBでできた繊維状態の変化だと考えられていますが、まだ殆どが謎に包まれています。私達の研究グループは、この動きのしくみを理解し応用することで、マイクロサイズで自律的に動くバイオマシンの創製を目指しています。現在取り組んでいるのは、その力を「シャボン玉の中に封じ込める」ことです。ここでのシャボン玉とは、リポソームという脂質でできた微小な袋のことです。この中にアクチンやMreBを封じ込め、外から光や化学信号で動きを制御して、自ら動くマイクロバイオマシンの実現を目指しています。 こうした小さな機械は、宇宙環境といった資源や空間が限られる場所での材料試験や薬効評価などへの応用が期待されます。私たちは、細胞の力を理解し、操る技術を通じ、健康・産業・環境に貢献できる技術革新に貢献していきます。細胞の「力」を理解・操る ―健康・産業・環 境へ広がるマイクロバイオマシン学術研究 ソーシャル

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