長岡技術科学大学 統合報告書 2025
23/46

水の惑星に生きる人類の安全とロボット・イノベーション研究活動実績 22図 1図 2ダム点検を想定した水中ロボットの評価試験の一例水中インフラ点検・レスキューロボットの競技化に向けたデモ(協力チームの皆さんと)システム安全系眞砂 英樹 准教授 我々の住む地球を他の惑星と決定的に異ならしめているのは豊富な水圏の存在です。古来より人類は、漁業、水運、農業・生活用水、エネルギーなど、水を様々な形で利用してきました。一方で水は時に自然災害として脅威ともなってきました。人類の歴史は、水とどのように付き合うかの歴史とも言えます。四方を海に囲まれた我が国にとっては、これはとりわけ重要な課題です。 近年様々な分野でロボットの利用が拡大しています。既に無人航空機(ドローン)はインフラ点検や農業などの分野で広く活用されており、近い将来物流分野にも拡大する勢いです。空の分野には遅れをとるものの、水域におけるロボット(水中/水上ロボット)も洋上風力発電などの水中インフラ点検や災害対応などの分野で徐々に利用が拡大しつつあります。しかしながら、これら水中ロボットについて、何がどこまでできれば求められる用途を満足すると言えるのかについての評価法が確立していないために導入に二の足を踏んでいるケースや、導入したものの十分に活用されていないケースがあります。当研究室では先行しているドローン分野を参考に、水中ロボットに求められる性能を調査し、それらを客観的・定量的に評価するための標準指標・試験法の開発をテーマとしています。現在まだ実現されてない潜在的なニーズも含めて検討することで、今後のロボット開発に指針を与え、新たな用途の開拓に繋げることも期待できると考えています。 ドローンや地上移動型のレスキューロボットでは、実際の現場を模したフィールドを用いた競技会がロボット技術を大きく進歩させることが示されています。水中に関しては競技フィールド設定の難しさなどもあり、陸・空ほどには進んでいないのが現状ですが、実際の現場で必要となる性能を適切に評価できる競技設計を通じて、本当に役立つ水中ロボットの開発・運用の拡大に貢献したいと考えています。 を創出するインパクト

元のページ  ../index.html#23

このブックを見る