長岡技術科学大学 大学案内 2025
13/86

()123123技術科学イノベーション航空機の翼や風車のブレードなどの設計においては、更なる高度化が求められていますが、模型実験を繰り返して設計を行うことは時間・費用がかかるため、数値流体シミュレーション技術が広く用いられています。流れの挙動を表す方程式を解くのは計算量が膨大になるため、(スーパー)コンピュータを活用することになりますが、実際に模型実験を行うことに比べれば、遥かに低コストにその性能値を得ることができます。このような技術を活用して、航空機に生じる揚力や空気抵抗、風車の発電量、室内空間の換気効率といった様々な流体力学的な性能値を予測する高精度な流体シミュレーションを行っています。更にその流体シミュレーション技術とAI技術を融合することで、AIがより高性能な、最適な形や配置を自動的に提案・設計してくれるような技術を開発しています。平成19年東北大学大学院航空宇宙工学専攻博士課程修了、同年フランス国立航空宇宙研究所博士研究員、平成21年アメリカワイオミング大学博士研究員、平成22年長岡技術科学大学産学融合特任講師、平成26年4月より現職超音速旅客機の数値流体シミュレーション垂直軸型風車の数値流体シミュレーションスプリックスドーム内の空調シミュレーションPossibilitiesこのような技術を用いて、燃費の良い航空機の翼形状や発電効率の高い風車形状、室内空間での適切な空調機器の配置などの自動的な設計を実現しています。航空分野では現在、空気抵抗が小さく、かつ衝撃波による騒音(ソニックブーム)も小さくなるような超音速旅客機の研究開発が盛んであり、新規(新奇?)形状の検討を進めています。自然(風力)エネルギーの有効活用を目指して、小型垂直軸型風車の高性能化に関する検討も進めており、シミュレーションで得られた風車形状を風洞設備で実験検証する研究も行っています。コロナ禍では適切な換気の重要性が指摘されていましたが、実際に大学キャンパスに実在するスプリックスドーム内の換気効率を評価するために、ドーム内の空気の流れ(およびコロナウィルス飛沫核の拡散)をシミュレーションする研究も行っていました。12「学生が書いた研究室ガイドブック」研究について詳しく見る山﨑 渉 准教授技術科学イノベーション専攻流体シミュレーション技術とAI技術を融合した設計技術の活用超音速旅客機の普及で世界の距離がさらに近づく

元のページ  ../index.html#13

このブックを見る