長岡技術科学大学 大学案内 2025
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()1231236電気電子情報工学バーチャルリアリティ(VR)の技術を活用し、メタバース空間内でコミュニケーションや様々な社会活動を行うことが現実になりつつあります。このような技術が発展すると、物理的な空間や距離の制約にとらわれない社会が実現可能となります。移動のためのコスト・環境負荷の削減にもつながりますし、働く場所、住む場所もより自由になり地域格差の解消も期待されます。さて、私たちはこのようなメタバース・VRの中核技術である3D映像表示技術の研究に取り組んでいます。現状ではVRと言えばいわゆるVRゴーグルというイメージがありますが、VRゴーグルは仮想空間に入り込んだ感覚をもたらすことには優れている一方で、装着が煩わしく、いつでも手軽に使えるというわけにはいきませんし、装着してしまうと現実空間での活動が難しくなってしまいます。そこで私たちは、PCの画面のように機器のそ平成8年東京工業大学工学部卒業、平成13年同大学院総合理工学研究科博士課程修了。通信・放送機構研究員、JST-CREST研究員を経て、平成16年名古屋大学助手、平成19年助教。平成23年長岡技術科学大学准教授。令和4年4月より現職。3D映像(上)を実物体(下)と混在させ周囲360度から見える裸眼ARディスプレイ1で用いているMEMS表示デバイスによる高速度プロジェクタ球形3Dディスプレイの実験の様子圓道 知博 教授電気電子情報工学分野Possibilitiesばに行けばすぐに見られる3D映像表示の研究を行っています。3D映像の本質は、視点の位置と方向に応じて見え方が変わることです。VRゴーグルは頭の位置と向きを計測し、それに合わせて画像を作り出すことでこれを実現していますが、利用者が何も装着せずに3D映像を見るためには、表示したい物体が実在した場合に周囲へ向かって発せられる光の状態を高度に再現することが必要です。この代表的な手法として液晶等のディスプレイとレンズアレイを組み合わせるものがありますが、ディスプレイ解像度の限界や、光の回折現象の影響などで性能向上が困難という問題がありますし、球形や円筒形などの平面でない形状を実現することも困難です。そこで私たちは半導体光源やMEMS表示デバイスの高速性を活用し、時分割手法を導入することで高品質な表示を実現する研究を行っています。「学生が書いた研究室ガイドブック」研究について詳しく見る日常生活で活用される身近で使いやすい3D映像の実現光線の状態を再現するライトフィールド3D映像表示技術の研究 RESEARCH

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