長岡技術科学大学 大学案内 2025
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への挑戦 NUT RESEARCH()12127情報・経営システム工学mmHgmg/dL私の研究室では、医学と情報工学の共創により医学と人間の生活を支援するための新規的な技術を生み出すべく、AIやIoT・計測工学・感性工学の技術を利用した「医学を支援する研究」と「人間を支援する研究」の研究を、医療従事者と綿密にコミュニケーションをとりながら進めています。「医学を支援する研究」のテーマの1つに医療従事者の感性計測があり、医療シミュレータを用いた腹腔鏡手術トレーニングのパフォーマンスを定量的に評価する研究を行っています。腹腔鏡手術は、腹壁の小さな穴より内視鏡と手術器具を挿入し、内視鏡で撮影した腹腔内の術野が映し出されたモニタを見ながら行う手術です。その手術環境を模擬したシミュレータを用いた手術トレーニング中の心拍、顔面皮膚温度、表情、視線などの生体情報からトレーニングのうまさや習熟平成23年鹿児島大学工学部卒業、平成25年同大学院理工学研究科博士前期課程修了、平成28年東京大学大学院新領域創成科学研究科博士課程修了(博士(科学))。同年青山学院大学理工学部助教を経て、令和5年3月より現職。マルチスペクトルカメラを用いた多波長顔画像計測の様子腹腔鏡手術シミュレータを用いたトレーニングの様子大岩 孝輔 准教授情報・経営システム工学分野117mmHg7810774Possibilities度などの定量化を行いました。その結果、トレーニングの習熟度が高い外科医と習熟度が低い医学生の術野を見る視線の動きに違いが見られ、トレーニングの視線の動きからトレーニングのうまさや習熟度を定量的に求められる可能性が見出せました。「人間を支援する研究」では、患者の体調急変の未然検出や生活者の持続的な健康モニタリングの実現を目指し、遠隔的に撮影可能な顔色や皮膚温の情報を含む多波長顔画像から血圧や血糖値などのバイタルサインを推定する研究を進めています。中でも、透析患者の多波長顔画像に基づく血圧モニタリングに関する研究では、顔画像を用いて10mmHg以下の誤差で血圧を推定できることが示され、この技術の利用で透析治療における最大の問題である患者の急激な血圧低下を未然で検出できることが期待されています。医学と情報工学の共創により医学と人間生活を支援する誰もが病気を予防する意識をもった社会

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