()12512への挑戦機械工学平成5年長岡技術科学大学機械設計工学課程卒業、平成7年同工学研究科修士課程修了、同年長岡技術科学大学 助手、平成18年長野高専 准教授、平成19年長岡技大 准教授を経て令和2年より現職。切削対象内部の瞬間的(15ns)な応力分布を光弾性法に基づいて可視化します。FEM解析結果(□の枠内)とも非常によく一致します。超音波加工で、さまざまなテクスチャを高速創成します。汚れ防止や摩擦係数低減などに応用されます。機械工学分野人間が地球に誕生した瞬間から、加工技術は絶え間なく進歩し、新しい手法が開発されています。よく例に挙げられるのは、石器です。黒曜石は、特定の面で割ると、薄く鋭い形状となり、切れ刃や矢じりとして利用できます。そして、その石器を「研いで磨く」という発見により、さらに鋭い切れ味の石器を生み出し、さらに金属などの刃物が開発されてきました。今日の切削加工では、カンナで木材を薄く削りとるように、金属も削ることができますが、ガラスやセラミックスなどの硬くて脆い材料をサクサクと切ることはできません。でも、バーテンダーは、凍りのブロックをアイスピックで少しずつ砕きながら、丸い氷を削りだせますが、どうしてでしょうか? 本研究では、工具を超音波振動させることで、切りにくい素材を加工できる技術開発を進めてきました。超音波振動は見ることのできない微振動ですが、とてもダイナミックな加工現象です。その現象を可視化するために、光弾性法と特殊なパルス光源を使い、15ナノ秒の短時間での応力分布高速撮影システムを構築し、動的な切りくず生成現象を明らかにしました。また、切れ刃の運動軌跡を制御することで、加工面にマイクロメートルオーダーの微細な凹みを、切削加工によって高能率で作ることができました。このような「マイクロテクスチャ」は、ヨーグルトの蓋の裏側での粘着抑制や、競技用水着の水中抵抗低減などで使われていますが、本技術のように切削加工でテクスチャを加工できる技術は、身の回りの様々な加工部品にも適用できることを意味していまげることができれば、トータルとして大きなエネルギー削減効果につながるような研究を進めています。す。そして、多くの□動面の摩擦係数をわずかでも下機械加工のパラダイムシフトを目指してPossibilities磯部 浩已 教授未来を変えうる本学の代表的な研究を分野ごとに紹介します。微細な加工技術が社会のエネルギー効率を引き上げる NUT
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