名古屋大学 令和6年度 入学者選抜要項
33/68

 生物では、「生物基礎」および「生物」の範囲から出題します。高等学校の生物では、大学で学ぶ生物学だけでなく、農学、医学、創薬学、環境学など広範なライフサイエンス分野全般の基礎を身につけることを目標としています。生物学で取り扱う空間的スケールは、原子・分子レベルのミクロの事象から、細胞、個体を経て、生態レベルのマクロな事象まで幅広く、時間的スケールも「一瞬」から数十億年にも及びます。結果として、生物は理科の中では教科書の情報量が最も多く、ともすると暗記科目とみなされがちですが、生命現象の基本原理を理解することが必要です。 出題では、生命体の構造、物質代謝、生理、遺伝など、生命現象の根幹に関する基礎知識や理解を幅広く問いますが、各論的な事象に関する知識のみを問う問題を中心に据えることはありません。「観察に基づいて検証可能な仮説を立て、実験的に検証する」という自然科学の普遍的な方法論は生物学においても不可欠です。したがって、複雑な生命現象を注意深く観察する力、実験を組み立てる力、データを正しく読み取り分析する力、生命現象の背景にある物質的基盤やメカニズムを論理的に洞察し、論述する力、を評価します。 地学では、「地学基礎」および「地学」の範囲から出題します。高等学校の地学では、宇宙から地球、さらに地球を構成する原石中の鉱物に至るまでの幅広い空間スケールの対象を学びます。また時間スケールも、宇宙や地球の進化から私たちが日常的に接している気象現象まで、広い範囲の対象を学ぶことを目標としています。こうした様々な対象を扱う分野についての基礎知識の理解度とそれに基づいた考察力を身につけることが必要です。 出題では、教科書の発展的内容に相当することや、環境問題や自然災害などの最近の話題に関することも出題するなど、地学の各分野の基礎知識だけでなく、分野をまたいだ総合的な内容を重視します。解答を通じて、地学に関する基礎知識の理解度、図表が示す情報を読み解く力、式の組み立てや計算などを通じて定量的に考察できる能力、与えられた情報や得られた結果に対する総合的な思考力、結果や考察を論理的に説明・記述する能力などを評価します。 名古屋大学の英語教育では、「英語の専門書を読み、英語で論文を書いて口頭発表するために必要な基礎力を養成する」点に主眼が置かれています。したがって個別学力試験「英語」では、リーディングとライティングの問題を通して、英語で表現された情報を正確に把握する力と英語を使って発信する力があるかどうかを問います。 リーディングの総合問題では、論旨の展開をおさえながら読み、書かれた内容を正確に理解する力や、文脈に即して作者の意図を読み解く力を測定します。 会話文形式のリーディング問題では、談話の流れに沿って内容を把握する力や、英語の質問に英語で答える力を測ります。 ライティングの問題では、適切な単語・表現・文法を使って自然な英文を書く力や、自身の意見を英語で論理的かつ正確に表現する力を問います。 小論文では、論述式の問題を通して、課題文の論理を的確に理解したうえで、その理解に基づいて関連する現実の歴史や社会の問題を分析し、自身の理解や分析を与えられた文字数の中で文章として表現する能力を問うています。課題文は、広い意味で法や政治に関わるテーマのものから出題しており、高等学校で学ぶ地理、歴史および公民科目の知識を前提に、課題文を理解するために必要な基礎的な学力を有しているかを評価しています。また、歴史や社会の問題に関心を持っているか、課題文の論理に即して分析するために適切な問題を見つけているか、課題文の論理を応用して自身の視角から問題を分析することができているか、そうして導いた自身の考えを論理的に表現することができているか、などを総合的に評価しています。―31―教科・科目等生物理科地学英語小論文出 題 方 針

元のページ  ../index.html#33

このブックを見る