名古屋大学 文学部 大学院人文学研究科案内 2024
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https://www.hum.nagoya-u.ac.jp/about/about-sub2/german.html● 修士論文エリアス・カネッティ『猶予された者たち』における権力構造/ファウスト救済の再評価 ― ゲーテのスピノザ理解を通じて/ゲーテ『親和力』におけるオッティーリエの聖別に関して/非分離前綴りbe-の意味的・統語的考察/カフカにおける「痛ましさ」について ―『流刑地にて』の時代性/自己に忠実であること ― エルンスト・ユンガー『大理石の断崖の上で』に見る政治的決断/倫理的なものと美的なもの ― ムージルの小説とエッセイを貫く思想/イタリア紀行試論 ― ゲーテの自然研究とカントの『判断力批判』をてがかりに環境記述について考える/トルコ系移民作家Yadé Karaの作品におけるマイクロアグレッションとMehrweltmenschenというあり方Das von Oskar und seiner Familie reflektierte Christentum in Gnter Grass' Die BlechtrommelGerman Studies● 博士論文フランツ・カフカにおける〈Spiel〉をめぐる考察/生の周囲に構築される抑圧的な檻 ― フランツ・カフカの〈動物物語〉をめぐって/エルフリーデ・イェリネクの初期作品における言語の身体性/グリムのメルヒェンの改編 ― 民間伝承から文学作品への行程/エリアス・カネッティ『群衆と権力』の軌跡/国際映画制作におけるドイツ山岳映画の影響12● 指導可能領域ドイツ語文学/ドイツ語詩/スイス戦後文学/フロイト研究/世紀転換期の芸術/記憶論/翻訳論学部院 ドイツ語で書かれた文学と一口に言っても、作者たちの出身地は、現在のドイツ国境の内側に限定されるものではありません。20世紀前半までは、ドイツ語話者が暮らす地域は広汎であり、現在のスイス・オーストリアはもちろんのこと、東欧・ロシアにまで及んでいました。そこには、社会や政治の情勢の中で、ドイツ語を学ぶ必要があった人たちもいれば、自らの意思でコミュニケーションや表現のメディアとしてドイツ語を選択した人たちもいます。こうした現象は、ドイツ統一後の中部ヨーロッパにおいて再び顕著になっています。また現代のドイツは移民大国でもあります。ドイツ文学は、決して単一の言語体系に規定されたテクストとしてではなく、母語と他者の言語とが越境し合い、緊張をはらんだ混淆が織りなす言葉のシンフォニーとして生成し続けています。 作者たちが残したドイツ語との格闘の跡をたどることは、私たち自身がドイツ語と格闘することでもあります。そこに、文学、哲学、現代思想、音楽、美術、舞台芸術などの専門的視点からの考察を加えることにより、ドイツ語を共通項とする国々の文化の特色を明らかにすることができます。ドイツ語ドイツ文学分野では、確たるドイツ語の知識を有し、ドイツ語圏文化を深く理解する人材の育成を目指します。中村 靖子 教授博士(文学) リルケ、フロイト、スイス文学、テキストマイニングを用いた文学研究・『非在の場を拓く』(春風社、2019)・『予測と創発―理知と感情の人文学』(春風社、2022)安川 晴基 准教授修士(文学) 近現代ドイツ文学、想起の文化、翻訳論・「ホロコーストの想起と空間実践」『思想』1096(2015)・ヤン・アスマン『エジプト人モーセ』(単訳、藤原書店、2017)・アライダ・アスマン『想起の文化』(単訳、岩波書店、2019)ドイツ語ドイツ文学

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